はじめに
オーソドックスな可変型三端子レギュレータLM317、LM337を使用した両電源(正負電源)基板です。
ちょっとしたオペアンプ回路とかに必要ですが、いざ作るとなると面倒くさい・・・ なので、基板を製作してなるべく簡単に作れるようにしました。
基板設計はKiCAD、製造はElecrowに発注しました。
回路図
今回は製作を進めているLM1972の電子ボリュームに使用するのを想定して、±5V出力で製作してます。
多回転型の可変抵抗RV1、RV2で±それぞれの出力電圧を微調整します。
回路・定数はほぼデータシート通りです。
また、DC入力と、トランスの2次側を接続するAC入力の2種類を設けました。
部品リスト
種類 | 参照名 | 数量 | 数値・仕様 | 形状・フットプリント | 購入先例 (通販コード) |
抵抗 | R1, R4 | 4 | 220Ω Vout:5V仕様時 | アキシャルリード (DIN0207) 1/4Wサイズ | 秋月電子 R-03359 |
抵抗 | R2, R3 | 4 | 470Ω Vout:5V仕様時 (R2+RV1=660Ω) | アキシャルリード (DIN0207) 1/4Wサイズ | 秋月電子 R-03367 |
抵抗 | R5, R6 | 2 | 220Ω | 1608サイズ | 秋月電子 R-13833 |
可変抵抗 | RV1, RV2 | 2 | 1kΩ Vout:5V仕様時 | Bourns_3296Wタイプ | 秋月電子 P-12700 |
コンデンサ | C1, C2, C13,C14, C15, C16 | 6 | 例:2200μF、35V | 電解コンデンサ 直径:10~18mm ピッチ2.5~7.5mm | 秋月電子 P-08427 |
コンデンサ | C3, C4, C11,C12 | 4 | 0.1uF | フィルムコンデンサ D9.0mm_W5.0mm _P5mm | 秋月電子 P-09790 |
コンデンサ | C5, C6 | 2 | 0.01uF | フィルムコンデンサ D6.0mm_W2.5mm _P5.00mm | 秋月電子 P-05327 |
コンデンサ | C7, C8 | 2 | 10u以上 例:220μF,35V,105℃ ルビコンZLH | 電解コンデンサ 直径:6.3mm ピッチ2.5mm | 秋月電子 P-11758 |
コンデンサ | C9, C10, C17,C18 | 4 | 0.1u ※C3,C4,C11,C12 を面実装とする場合 | 1608サイズ | 秋月電子 P-13374 |
ダイオード | D1, D3, D2, D4 | 4 | 整流ダイオード 例:1N4007G | DO-41(DO-204AL) P12.7mm | 秋月電子 I-13561 |
ダイオード | D5, D7, D8, D6 | 4 | GS1010FL レギュレータの 保護ダイオード | SOD-123FL | 秋月電子 I-06014 |
LED | D9, D10 | 2 | OSHR1608C1A 赤色、OptoSupply | 1608サイズ | 秋月電子 I-03978 |
三端子レギュレータIC | U1 | 1 | LM317T-DG (正電源) | TO-220-3 | 秋月電子 I-09713 |
三端子レギュレータIC | U2 | 1 | LM337SP (負電源) | TO-220-3 | 秋月電子 I-07218 |
リセッタブルヒューズ | F1, F2, F3 | 3 | MR-F050 (Bourns) | 0.5A、1Aで遮断 耐圧60V | 秋月電子 P-12628 |
ヒートシンク | HS1, HS2 | 2 | 20PB020_ W20D20H25 | – | 秋月電子 P-05054 |
ターミナルブロック | J1, J2, J3 | 3 | 汎用端子台 | 3pin_5.08mmピッチ | 秋月電子 P-01307 |
放熱シート | – | 2 | CW-3 (マックエイト、 サーコン) | TO-220用 | 秋月電子 P-12791 |
プラスチックネジ | – | 2 | M3×12mm | 3mmプラネジ +六角ナットセット | 秋月電子 P-02743 |
※上記は例として部品をリスト化しています。下記の製作例では家に転がっていた別の部品を使用している可能性がありますので、ご了承ください。
基板レイアウトと完成予想3D
KiCADで3D表示したものです。部品有り無しで表示出来ます。いきなり基板を起こすので、完成イメージが見れるのは便利ですね。
自分で作ったフットプリントなど、一部3Dデータが無いので表示されてませんが、ちゃんとモデルを作ってれば後述する間違いに気づけたかもしれません。
届いた基板
レジストの色は青で注文してみました。
今回はシルクが少し滲んでいます。あと少しレジストが剥がれている基板も入ってました。まあ10枚注文して+2枚余分に入ってたので気にしないことにしましょう。
今回のやらかし点
いきなり基板を起こすとあとでこうしておけば良かった、、、ってのが必ず出てきますね。次に頼む機会があれば直したいと思うので下記に書いておきます。
①ダイオードD7、D8の配線を間違えてGND⇔Vout間に繋いでました。(上の回路図は修正済み、3D図は直ってないので注意してください。)ここにあっても問題ないとは思いますが、本来は抵抗R1間・R4間に接続したかったです。
このダイオードは、出力側の電圧が何らかの原因で0になった時に、コンデンサC7、C8の電荷がLM317、LM337のADJ端子を通って放電して壊れるのを防ぐためのものです。データシートによると、C7・C8が22μF以下なら要らん!と書いてあります。今回は100μFを付けたのであった方がいいですね・・・ということで裏面に無理やり取り付けました。
②ヒートシンクのサイズを間違えました。
秋月電子で売っている「20PB020」を使用するつもりでフットプリントを作りましたが、取り付け穴が何故か間違えて「16PB017」になってました。一回りサイズが小さいですが今回はこれで製作してます。
③電解コンデンサがでか過ぎました。
基板のサイズを秋月電子で売ってるユニバーサル基板のサイズに合わせよう、ということで、Cタイプ(72mm×47mm)で作ろうとしましたが即諦め、Bタイプ(95mm×72mm)に合わせて設計しました。そのため、ゆとりのある基板サイズで出力の電解コンデンサも直径φ18のサイズが正負各2つまで取り付け可能な仕様になってます。
今回は直径大き目でロープロファイルなルビコンWXAシリーズを使用してみましたが、用途的に2200μF×2は大きすぎですね。
④AC入力のマイナス側にヒューズ(ポリスイッチ)を入れ忘れた…安全のため一次側には必ず入れましょう。
⑤面実装LEDの向きが分かり難かったので、ダイオードのマークを入れてみましたが、小さすぎて潰れてしまいました。(辺0.6mm)これも次回から大きくします。
⑥このサイトのURLをQRコードで入れてみましたが、なかなか認識してくれないです。滲みの影響もあると思いますが、次回からはもっと大きくしてみます。
QRコードの入れ方については下記の記事にまとめてみました。
【追記】修正版の基板
これらのミスを修正したバージョンの基板を作りましたので、参考までに見てください。
組み立て後の写真
部品を取り付けるとそれっぽくなってきてテンションが上がりますね。やっぱり電子工作は楽しいです。
一応三端子レギュレータとヒートシンクも絶縁してますが、ヒートシンクと基板とのショートが気になる心配性なので、カプトンテープで絶縁しています。(その割には雑ですが…)
追加で付けたダイオードは裏面にあります。
動作確認
出力電圧を見ながら可変抵抗RV1、RV2を回して電圧を調整します。多回転タイプのため、かなり微妙な調整もできます。オシロで波形も見てみましたが発振はしてなさそうです。
取りあえず±5Vに調整完了!評価については…また追って公開します。
簡単ですが、中華製の電子負荷DL24の確認ついでに動作確認した時の様子を下記に記載しています。
参考リンク
これを言ったら元も子も無いですが、やっぱり中華基板を買ったほうが安いし速いんじゃね?という人のためのリンクです。
修正版の基板を製作したのでこちらも参考までに。