ADuM3160によるUSBアイソレータの製作

ADuM3160を使用したUSBアイソレータ 自作基板
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はじめに

秋月電子で売っているアナログデバイセズ社のADuM3160を使用したUSBデジタルアイソレータを製作しました。

用途としては、USBDACとパソコンの絶縁や、USBオシロスコープとパソコン接続時の絶縁などを考えています。

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回路図

今回製作したUSBアイソレータの回路図です。

回路図: ADuM3160 USBアイソレータ
USBアイソレータの回路図

基本はデータシートの通りの回路です。

SW1の2,3ピンショートで一次側(アップストリーム側)から二次側(ダウンストリーム側)に電源を供給する絶縁型DCDCコンバータU2がONします。

バスパワーで動かす場合などは、U2をOFFか未実装に、またバスパワーの3.3Vで動作させる場合は、JP1をショートして使用する想定です。

今回は U2のDCDCコンバータを使用する条件で制作しています。

部品リスト

品名参照名数量数値・仕様規格・フットプリント購入先例
抵抗R1, R72220Ω1608サイズ秋月電子
(R-13833)
抵抗R211kΩ1608サイズ秋月電子
(R-14122)
抵抗R3, R4,
R5, R6
424Ω1608サイズ共立電子
コンデンサC1, C72100uF、6.3V以上電解コンデンサ
直径:6.3mm
ピッチ2.50mm
秋月電子
(P-02724)
コンデンサC2, C3,
C4, C5,
C6, C8
60.1uF、6.3V以上1608サイズ秋月電子
(P-13374)
LEDD1, D22OSHR1608C1A
赤色、OptoSupply
1608サイズ秋月電子
(I-03978)
フェライト
ビーズ
L1, L22BLM18PG600SN1D
60Ω@100MHz,村田
1608サイズ秋月電子
(P-04442)
コモンモード
フィルタ
FL11DLP11SN670SL2L
67Ω@100MHz,村田
1210サイズ秋月電子
(P-06985)
USB
コネクタ
J11USB_Bタイプ(メス)基板取付用秋月電子
(C-00161)
USB
コネクタ
J21USB_Aタイプ(メス)基板取付用秋月電子
(C-11551)
ジャンパJP11未接続
※2次側3.3V動作時
にショート
1608サイズ秋月電子
(R-11619)
リセッタブル
ヒューズ
F11MF-R050、Bourns0.5A、1Aで遮断
耐圧60V
秋月電子
(P-12628)
ICU11ADUM316016ピン
ワイドSOIC
絶縁電圧2500Vrms
秋月電子
(I-12767)
DC/DC
コンバータ
U21MCWI03-05S05
絶縁型、入力電圧4.5~9V
出力電流150mA~600mA
SIP-8秋月電子
(M-04261)
スイッチSW112-3ピンショートで
DC/DCコンバータがON
ピンヘッダ1×03
ピッチ2.54mm

テスト
パッド
TP1, TP2,
TP3, TP4
4電源モニタ用スルーホール

部品の値段が結構高い(約1600円)ですが、ほぼほぼ メインのUSBアイソレータIC ADuM3160 と絶縁型DC/DCコンバータのお値段です。基板を除いてコストの約85%です。

ちなみに、ADuM3160の耐圧は2500Vrmsです。
もっと耐圧の高い「ADuM4160」というICもありますが、今回一緒に使ったDC/DCコンバータ MCWI03-05S05の耐圧の方が低くて(DC1600V)ボトルネックになっているので、使う意味は無さそうです。

基板レイアウトと基板完成予想予想3D

KiCADの3D表示:C面
KiCADの3D表示:C面
KiCADの3D表示:S面
KiCADの3D表示:S面

基板サイズは秋月電子で売っているタカチのプラスチックケースSW-65Bにぴったり入るサイズを狙って設計してみました。USBのパターンは初めてなんでよく知りませんが、一応等長配線にしようとKiCADの差動ペア機能を使ってみて頑張ってみました。

C面部品配置図
C面部品配置図
S面部品配置図
S面部品配置図

届いた基板

届いた基板:Elecrowで製作
届いた基板:Elecrowで製作

今回はレジストの色を黄色にしてみました。意外と気に入ったので、以降の基板は黄色を指定して発注してます。

スルーホール部のクローズアップ
スルーホール部のクローズアップ

レジストをビアホールに被せる設定で作りましたが、大き目のビアホールだとレジストに穴が空いてしまう時があります。(今回はφ0.6)

もし、中はレジストの保護被膜もはんだレベラーも付いてないような状態となっている場合、酸化とかが不安ですね。次回からはビアのレジストは抜いた設定で作ろうかと思います。

レジストを抜く設定方法を下記の記事にまとめました。

組み立て後の写真

組み立て後の写真:C面
組み立て後の写真:C面
組み立て後の写真:S面
組み立て後の写真:S面

2次側の信号に調子に乗って「コモンモードチョークコイル」を付けたのですが、小さすぎました…。

秋月電子でディスコン(在庫限り)ではない常時在庫の部品ということで選定したのですが、ちょっと小さいけど頑張れば1005の部品もイケるから余裕だろ、と思ってましたがギリギリでした。

側面の電極を剥がしつつも何とか取り付け完了しました。

コモンモードチョークコイルのクローズアップ
コモンモードチョークのクローズアップ

基板の足は高さ10mmのスペーサーを使うとフタと部品が干渉して閉まらないので、4mmの足を使っています。(秋月電子:ミニカードスペーサー、MPS-04-0、北川工業製)

スナップフィットになってます。
ケースにはホットボンドで固定しようとおもいます。

タカチ製ケース SW-65B への仮組状態
タカチ製ケース SW-65B への仮組状態

動作確認

USBメモリでの動作確認
USBメモリで動作確認

通信速度の確認

とりあえずUSBメモリで正常に動作しているか確認しました。USBメモリを絶縁する意味は特に有りませんが…正常に読み書き出来ています。

電源ONの確認用に付けたLEDが結構眩しいです。
220Ωからもう少し大きい抵抗値に変えた方が良いかもしれません。
どうせ蓋をしたら見えないのでもったいないですしね。

ADuM3160はUSB2.0対応ですが、フルスピード(12Mbps)までの対応のため、書き込み速度は遅いです。
エクスプローラの表示で約0.7MB/sと、規格に対してはまずまずの速度が出ていることを確認しました。

書き込みスピード
書き込みスピード(12Mbpsなので遅いです)

消費電流の確認

USBアイソレータ単体の消費電流と、USBメモリ接続時の消費電流を測ってみました。

USB電圧電流チェッカー(ルートアール製RT-USBVAC6QC)を使用してます。

単体の消費電流が61mA、USBメモリを接続時に150mA-61mAで89mA増加。USBメモリ単体の消費電流は36mAでした。
ちょっと一次側の増加量が多い気がしますが、電流も小さいしDC/DCコンバータの効率を考えるとこの位なんですかね~。

アイドル時の消費電流
アイドル時の消費電流(アップストリーム側で測定、ダウンストリーム側には何も繋いでないとき)
61mA
USBメモリ接続時の消費電流
USBメモリ接続時の消費電流(アップストリーム側で測定)
150mA
 USBメモリ自体の消費電流
USBメモリ自体の消費電流(ダウンストリーム側で測定)
36mA(書き込みしてない状態)
USBメモリファイル書き込み時の消費電流
USBメモリファイル書き込み時の消費電流(アップストリーム側で測定) ※参考
164mA

Arduinoマイコンの書き込み・動作確認時のPCとの絶縁

USBアイソレータを挟んだ状態で、Arduino Uno R3に正常に書き込みできることを確認しました。

書き込み・動作確認時にPCと絶縁できるので、少し安心ですね。

LED1個をチカチカさせた写真

アクティブラーニングモジュールADALM2000をつなげてみた

USBオシロスコープやファンクションジェネレータとして使えるADALM2000です。
PCと絶縁できると良いなと思ってつなげてみました。

アクティブラーニングモジュールADALM2000

残念ながらADALM2000は今回のUSBアイソレータを挟むと、使用できませんでした。

ADALM2000を繋ぐとUSBアイソレータの電源LEDがアクセスランプの如く点滅するので、電源供給能力が足りないのかもしれません。(消費電流は約450mA)

⇒ADALM2000に補助電源をつなげると、専用ソフト(Scopy)上で認識しましたが、接続しようとするとScopyが終了します。

残念ながら断念しました。

参考リンク

買ったほうが安いよという方はこちら。

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