最近、学生時代に挫折したエレキベースをもう一度練習しております。
今回は、ベースのプリアンプ部に使用するVUメーターを作ってみたいと思い、VUメーターの駆動アンプとして使える全波整流回路の基板を作ってみました。
全波整流回路とは
全波整流回路とはACの入力電圧の負電圧を正電圧に変換し、直流に変換する回路です。
半波整流回路では、負電圧分を単純にカットして使わないことになります。
使用するVUメーターがDC用なので、このような整流回路を使用する必要があります。
電源回路では、トランスからのAC電圧⇒DC電圧への変換回路に、よくダイオードのブリッジ回路が用いられますが、今回は電源回路でなく、小さな信号を全波整流する必要があります。
なので、単純なダイオードブリッジ回路と比較して、ダイオードの順方向電圧降下(VF)の影響の無い、オペアンプを使った理想ダイオードと呼ばれる回路を使用したものを試してみます。
ダイオードブリッジ回路を使った電源回路の例としては、下記を参照ください。
回路図
今回の回路図は下記になります。
※理想ダイオード回路は参考文献より。「参考リンク」の項を参照ください。
今回はちゃんとしたVUメータではなく、一応針が振れればよいというノリのものです。
一応ステレオで使用できるように2回路分を用意しています。
また、エレキベースと組み合わせる場合、入力インピーダンスによってはバッファが必要かも?
と思い、ボルテージフォロワによるバッファを入れています。
※特に私の持っているパッシブベースと直結する場合などは必要です。
せっかくなので、バッファ後の信号をそのまま出力が出来るように端子を設けました。
部品リスト
今回使用する部品のリストです。
品名 | 参照名 | 数量 | 数値・仕様 | 規格・フットプリント |
オペアンプ | U1-U3 | 3 | NJM4580DD | DIP-8_W7.62mm 秋月電子:I-00069 |
ダイオード | D1-D4 | 4 | 小信号ダイオード 例:1N4148 | アキシャルリード DO-35_SOD27_P10.16mm 秋月電子:I-00941 |
抵抗 | R3, R4 | 2 | 1MΩ | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R5, R6 | 2 | 100Ω | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R11, R12 | 2 | 5.1kΩ | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R7-R10, R13-R18, R21, R22 | 12 | 10kΩ | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R19, R20 | 2 | 2.4kΩ | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R1, R2, R23-R26 | 6 | 1kΩ | アキシャルリード(DIN0207) P10.16mm 1/4Wサイズ |
可変抵抗 | RV1, RV2 | 2 | 10kΩ | Bourns_3296W 垂直タイプ 秋月電子:P-12696 |
コンデンサ | C1-C4 | 4 | 1uF (105) | フィルムコンデンサ D9mm_W6.4mm_P5.0-7.5mm 秋月電子:P-09792 |
コンデンサ | C5, C6 | 2 | 100pF (101) | セラミックコンデンサ D9mm_W4mm_P5.0-7.5mm 秋月電子:P-08094 |
コンデンサ | C7, C8 | 2 | 100uF | 電解コンデンサ 直径:6.3mm、ピッチ2~2.5mm 秋月電子:P-10271 |
コンデンサ | C9-C14 | 6 | 0.1uF (104) | フィルムコンデンサ D9mm_W5mm_P5.0-7.5mm 秋月電子:P-09790 |
コネクタ | J5 | 1 | XHコネクタ | コネクタ:JST_XH_B3B-XH-A 3ピン_P2.50mm 秋月電子:C-12248 |
コネクタ | J1-J4, J6-J9 | 8 | XHコネクタ | コネクタ:JST_XH_B2B-XH-A 2ピン_P2.50mm 秋月電子:C-12247 |
シミュレーション確認
シミュレーション回路図
フリーの回路シミュレータ、LTSpiceで回路シミュレーションを行ってみました。
デフォルトで用意されている部品モデルを使っています。
R7+R8で、出力調整用の可変抵抗とVUメーターの負荷を想定しています。
過渡解析の結果
1kHzのSin波を入力した時の解析結果です。
入力電圧:緑色
出力電圧:赤色(オペアンプU2の出力、R7の手前の電圧)
マイナス側の入力電圧が折り返されてプラス側に出力されており、全波整流回路になっていますね。
また、理想ダイオード回路なので、入力電圧1Vppと小さくても、ダイオードVFの影響を受けていません。
参考までに、LTSpiceのシミュレーション用データを置いておきます。
使用するVUメーター
今回使用するVUメーターの写真です。
これは、Amazonのプライムデーで安かったので購入したものです。
LED照明が電球色でいい雰囲気ですね。
追加で買おうと思ったら高くなってて無理でした。
VUメーターの動作テスト
DC電流0.11mAを流したところ、針は0dBを指します。
この時の端子間の電圧は、0.686Vでした。
オームの法則:R=V/Iより、VUメーターの抵抗値は約6.23kΩ
また、普通にデジタルマルチメーター(3478A)で測定したら、抵抗値は6.43kΩでした。
だいたい一致しています。
KiCADで基板設計
今回もKiCADで設計、Elecrowで製造してもらいます。
基板サイズは50mm×100mmです。
3Dビュー表示
部品レイアウト
表側の部品配置図です。
裏側(はんだ面、部品無し)
Elecrowに発注、製作した基板
多面取り(パネライズ)して発注
Elecrowで基板を製作してもらう場合、100mm×100mmまでお値段が変わらないので、2枚面付けして発注します。
それを狙って50mm×100mmの基板にしています。
貧乏性ですね。
多面取り表側
多面取り裏側
シルクの線の部分でVカットしてもらいます。
下記の1ドルキャンペーン時に発注したものです。
到着した基板
Elecrowから届いた基板です。
【仕様】
基板板厚:1.6mm
銅箔厚:35µm(1oz)
レジスト色:黄色
表面処理:鉛フリー半田レベラー
まとめ
ベースのプリアンプ部に使用するVUメーターを作ってみたいと思い、VUメーターの駆動アンプとして使える全波整流回路の基板を作ってみました。
動作確認出来たら、また更新します。(そんなことよりベース練習しろ)
参考文献
トランジスタ技術SPECIAL No.137 今すぐ作れる!今すぐ動く!実用アナログ回路辞典250、p152:CQ出版社
アンプ基板もセットで買ったほうが安いよ、という方用のリンクです。