凍殺ジェットで抵抗の温度係数(低温)を確認してみる

凍殺ジェットで抵抗の温度係数を確認 部品・モジュール
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抵抗の温度係数(低温側)を一般家庭でお気軽に測定したいときに、殺虫剤成分を含まない凍殺ジェットが使えないか?と気になったので試してみました。

※今まで氷殺ジェットだと思っていましたが、氷殺ジェット(バルサン)は諸事情により販売中止で、今回買ったのは凍殺ジェット(フマキラー)でした。
くれぐれも取扱には注意!

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抵抗の温度係数とは

抵抗器の抵抗値は温度によって変化します。

どのくらい変化するかは抵抗器の種類によって違いますが、その度合いが温度係数(TCR)としてデータシートに記載されています。

抵抗の温度係数は、たいてい±○ppm/℃という単位です。
※ppmはpart par millionの略なので、百万分のいくらという意味です。

例①:1000ppm/℃=0.1%/℃
例②:100ppm/℃=0.01%/℃になります。

一般的な抵抗の種類と温度係数一覧は下記になります。

抵抗の種類温度係数(TCR)
炭素皮膜抵抗
カーボン抵抗
-700ppm/℃~+350ppm/℃
金属皮膜抵抗:厚膜型
メタルグレース抵抗
(通常のチップ抵抗など)
±50ppm/℃~±300ppm/℃
金属皮膜抵抗:薄膜型
(高精度チップ抵抗など)
±5ppm/℃~±100ppm/℃
酸化金属皮膜抵抗
(電力用など)
±200ppm/℃~±300ppm/℃
参考文献

三宅和司(2000):抵抗&コンデンサの適材適所 p17:CQ出版社

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氷殺ジェットで何度まで下がるのか

氷殺ジェットのパッケージには-85℃と記載されていますが、実際に何度になっているのかテスターに熱電対をつけて確認してみました。

下記はその時の動画です。

測定値をTsDMMViewerで記録してみました。

氷殺ジェットの温度をテスターで測定

室温29℃から、最低で-38℃くらいまで冷えています。(温度変化:ΔT=-67℃)
すぐに温度が戻るのかとおもったら、意外と長く冷えています。(20秒以上)
ムカデなどをやっつけるものなので、強力ですね。

使用しているテスター(サンワ PC7000)についてはこちら

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抵抗の温度係数を確認

酸化金属皮膜抵抗:2.2kΩ品

在庫部品として持っていた抵抗を測定してみました。
外観から、おそらく酸化金属皮膜抵抗だと思います。

本当は、配線の抵抗値変化を除外するため、4端子法で測定したいところですが、
今回はPCに繋ぐテスターで測定しているので、2端子法での測定です。

測定する抵抗値が小さい場合、無視できない誤差が生じる場合があるので注意。

測定結果のグラフは下記になります。

氷殺ジェットで酸化金属皮膜抵抗の温度係数を確認
温度係数TCRを計算してみる

常温時の抵抗値:2.1769kΩ
低温時の抵抗値:2.2088kΩ
変化量:0.0319kΩ
変化率:1.465%

ここで、先ほど測定した結果より常温時を29℃、低温時を-38℃とすると、温度変化は-67℃です。

よって、1℃あたりの変化量である温度係数は、
1.465%/-67℃×10000で、-218.7ppm/℃になります。
※10000を掛けない場合、%/℃の単位になります。

低温時に抵抗値が増えているので、温度係数はマイナスです。
先ほどの表で、酸化金属皮膜抵抗は±200ppm/℃~±300ppm/℃とあるので、だいたい合っていますね。

高精度抵抗(25ppm/℃)品の確認

秋月電子で買った高精度抵抗を確認してみます。
温度係数:±25ppm/℃、抵抗値精度:±0.05%の高級品です。

測定値のグラフは下記になります。

氷殺ジェットで高精度抵抗の温度係数を確認
温度係数TCRを計算してみる

先ほどと同様の方法で計算してみます。
(吹き掛けた瞬間、過渡的に抵抗値が増えていますが、電線などの影響もありそうなので安定した部分の値を使っています。)

常温時の抵抗値:9.999kΩ
低温時の抵抗値:10.021kΩ
変化量:0.022kΩ
変化率:0.22%

常温時を29℃、低温時を-38℃とすると、温度係数の計算値は
0.22%/-67℃×10000で、-32.8ppm/℃になります。

規格±25ppm/℃を少し超えていますが、さすがにこのレベルはもっとちゃんとした方法で測定する必要がありそうです。

まとめ

氷殺ジェットを使って、抵抗値の変化から抵抗の温度係数(低温)を確認してみました。

結果は、簡易ですが意外とそれっぽい値が確認できています。
※急激な温度変化による部品へのダメージがあるかもしれませんので、注意してください。
 また、ガスによる引火の可能性もありますので注意!

真面目に確認する際は、温度設定の出来る恒温槽が必要です。
一般家庭でやるなら、温度センサと組み合わせて、低温側は冷蔵庫、高温側はヨーグルトメーカーなどが使えないかな~と思っています。

参考リンク

今回使用した冷却系殺虫スプレー:凍殺ジェット

ちゃんとした恒温槽の代わりに使ってみたい物。

高温側:ヨーグルトメーカー

低温側:小型冷凍庫(嫁が許せば台所の冷蔵庫もアリですね)

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