チップ部品の寸法表記(インチ・ミリ)について
表面実装の抵抗やコンデンサなどのチップ部品のサイズ表記について、通常日本ではミリ表記で記載されてますが、KiCadのライブラリや海外通販などをみるとインチ表示が出てきて紛らわしいので、自分が良く使う物について、下記の表にまとめました。
ミリ表記 | インチ表記 | 長さL(mm) | 幅W(mm) | 個人的な用途・主観 |
1005 | 0402 | 1.0 | 0.5 | 手付の限界、目が衰えてるので、ちゃんと付いてるか確認するためには顕微鏡が必要 |
1608 | 0603 | 1.6 | 0.8 | 大きさと使いやすさで丁度よいのでこれをメインで使ってます |
2012 | 0805 | 2.0 | 1.2 | 大き目のコンデンサ等、耐圧・電力が欲しい時に |
3216 | 1206 | 3.2 | 1.6 | 上と同じ |
3225 | 1210 | 3.2 | 2.5 | 上と同じ |
4532 | 1812 | 4.5 | 3.2 | 面実装フィルムコンデンサ等 |
5750 | 2220 | 5.7 | 5 | 上と同じ |
6331 | 2512 | 6.3 | 3.1 | 大電力チップ抵抗など |
個人的に使ったことがないので書きませんでしたが、0603はミリ表記でも存在したり、紛らわしいですね。親切な通販サイト等だと「1608M」と末尾にミリ表示であることを記載してくれてたりします。逆に「0603i」というのは見たことがありませんが有るんでしょうか?
このサイトでは、もちろん特に断りの無い限りミリ表示です。
KiCadの標準であるパッド寸法について
KiCadの部品ライブラリには、標準で二種類のパッド形状を準備してくれています。
普通のやつ(例:Capacitors_SMDのC_0603 ※注:インチ表記):パッド長が短すぎます。これはリフローによる半田付けを想定しているためでしょう。
逆にもう一つは、手半田を想定したハンドソルダリングというものです。(例:C_0603_HandSoldering)ただちょっと長すぎますね、、、実際にどちらも作った写真を下記に紹介します。
普通のやつでも手はんだは可能ですが、左右にズレたりするとパッドからはみ出てしまうため、もうちょっと長さが欲しいです。あと、はんだ量の調整が難しいため、いもはんだになりやすいです。
逆に長すぎると、作業性は良好ですが、基板スペースを取りますし、はんだが多くなって部品にストレスがかかる可能性があります。でも普通に趣味で使ってる分には多分大丈夫でしょう。
メーカーの信頼性試験とかは-40℃~125℃などを千回繰り返したりなどの超過酷条件でテストしています。(自動車のエンジンルームの中に入れたり、屋外に置いたりする場合は、気にした方がいいかもしれません。)
自分用のフットプリントの作成
上記のようにどちらも極端なパッドの大きさなので、好みのパッド寸法を自分で作成しましょう。参考までに、私は下記のパッド寸法で制作することにしました。要は、中間くらいの寸法ですw
部品サイズ | 長さL1(mm) | 長さL2(mm) | 幅W(mm) |
1608 | 1.0 | 2.95 | 0.9 |
2012 | 1.2 | 3.6 | 1.25 |
3216 | 1.5 | 5.0 | 1.7 |
3225 | 1.5 | 5.2 | 2.3 |
チップ抵抗、コンデンサメーカー各社のサイトに載っている推奨パッドも参考になります。
村田製作所
Panasonic(PDF)
北陸電気工業(PDF)
太陽誘電
KiCadでの作成方法
まずは、フットプリントエディターで、標準ライブラリから自分用のライブラリにコピーを保存します。ここでは、1608サイズで試します。自分用のライブラリを作っていない方は、ファイル⇒新規ライブラリで作成を行いましょう。
Capacitors_SMDの中にあるC_0603をコピーします。(インチ表示なので注意)
コピー方法は、フットプリントを左のリストから選択して、右クリックし、名前をつけて保存を選択して自分用のライブラリに保存します。
そうすることで、上記の画像のように3Dモデルの設定などもそのままコピーして持ってこれます。
あとは名前を変えて、好きなように編集しましょう。具体的には、パッド1をダブルクリックして「サイズX」、「サイズY」の寸法を変更しましょう。また、「X位置」、「Y位置」の寸法でパッドの位置を調整しましょう。パッド2も同様に変更して左右対称形状に変更します。
シルクの位置が邪魔な場合は動かして調整しましょう。余裕があれば、画像では横線2本ですが、チップ部品の外周を一周シルクで囲うようにしてもよいかもしれません。
ちなみに私は、抵抗とコンデンサでパッド形状を共通にしてますので、名前は「CR1608mm」として保存しました。
おわりに
チップ部品の寸法表記(インチ・ミリ)の表と、KiCadでのチップ部品のパッド形状の作成方法についてまとめました。
本当は良くないのかもしれませんが、3216のパッドを設けておいて、実際は1608を使いたいなど、どちらも使えるようなパッド形状にしておくのも面白いかもしれませんね。自己責任ですが、自分で基板パターンを作るメリットですね。