LCRメータDE-5000で色んなインダクタを測ってみる

LCRメーター DE-5000でコイルのインダクタンス測定 計測機器
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秋月電子で購入したDER EE社製のLCRメーター、DE-5000で色々なインダクタ(コイル)を測定した結果をまとめるページです。
何らかの参考になれば幸いです。

LCRメーターとは、電子部品の
L:コイルのインダクタンス
C:コンデンサの静電容量
R:抵抗値
を測定する装置です。

コンデンサの測定については下記のページにまとめています。

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DE-5000の仕様

DE-5000のインダクタンス測定機能は下記になります。

測定周波数:100Hz、120Hz、1kHz、10kHz、100kHz
測定モード:インダクタンスはLs(シリアルモード)、Lp(パラレルモード)を切り替えて測定できます。

通常は、低インピーダンス素子(Z=約100Ω以下)の場合はLs、高インピーダンス素子(Z=約10kΩ以上)の場合はLpモードが適しているようです。(HIOKIのHP参考:等価回路モードについて)
今回は確認のため、両方のモードで測定してみました。

インダクタンスのほかに、下記のパラメータが測定できます。
D:損失係数(tanδ)
Q:品質係数(クオリティファクター)
θ:位相角
ESR:等価直列抵抗、またはRP(Lpモード時)

パラメータの計算について

コンデンサの測定時と同じように、上記のパラメータはDまたはQから算出することができます。
今回はDから計算してみた結果も載せてみました。

【計算方法】
Q=1/D
ESR=D×2×π×測定周波数×コイルのインダクタンス
θ=DEGREES(ATAN(Q)) ・・・エクセルでの計算式

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測定結果

デジタルアンプ基板用に買ったインダクタンスを、何種類か測定してみました。
10μH~33μHあたりの比較的インダクタンスが小さなコイルです。

サガミエレク製、7G14C-100M-R、10μH

秋月電子で購入したデジタルアンプ用のインダクタです。
インダクタンスは10μH、許容誤差±20%
定格電流は13Aと大容量。

Ls(シリアルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH10.010.010.09.889.346
D(tanδ)2.0201.6940.2110.0390.019
Q(測定値)0.50.64.725.451.9
ESR(測定値)Ω0.000.000.010.020.11
θ(測定値)°26.530.178.087.788.8
Q(Dから計算)0.50.64.725.652.6
ESR(Dから計算)Ω0.010.010.010.020.11
θ(Dから計算)°26.330.678.187.888.9
Lp(パラレルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH54.040.010.59.919.354
D(tanδ)2.1001.7370.2130.0390.019
Q(測定値)0.50.64.725.152.1
Rp(測定値)Ω0.000.000.3015.6308
θ(測定値)°26.230.277.887.688.8
Q(Dから計算)0.50.64.725.652.6
ESR(Dから計算)Ω0.070.050.010.020.11
θ(Dから計算)°25.529.978.087.888.9

測定結果から、Lpモードの低い周波数ではちゃんと測定出来ていないようです。
10μHとインダクタンスが小さく、低インピーダンスなためと思います。
よって、このコイルはLsモードで測定したほうが良さそうですね。

Q、ESR、θはDから計算した値とほぼ一致しました。
微妙に値が違うのは、数値をメモったり切り替えたりしているうちに数値が動いてしまうのが原因ではないかと思います。
なので、通常はDかQだけ測定して計算したほうが楽ですね。

ちなみに、このコイルは中華トランジスタテスター「Bside ESR2PRO」でインダクタンスが小さすぎて測定できなかったものです。
このDE-5000では、ちゃんと測定出来ています。さすがLCRメーターですね。

サガミエレク製、7G14C-220M-R、22μH

上記と同じシリーズのデジタルアンプ用インダクタ、22μH品です。
許容誤差は±20%、定格電流は9A。

Ls(シリアルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH21.022.021.420.8319.867
D(tanδ)1.2341.0450.1300.0380.031
Q(測定値)0.81.07.725.731.5
ESR(測定値)Ω0.000.000.010.050.39
θ(測定値)°39.343.782.587.788.1
Q(Dから計算)0.81.07.726.332.3
ESR(Dから計算)Ω0.020.020.020.050.39
θ(Dから計算)°39.043.782.687.888.2
Lp(パラレルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH56.046.021.820.8719.905
D(tanδ)1.2601.0550.1290.0390.031
Q(測定値)0.81.07.725.631.6
Rp(測定値)Ω0.000.001.0533.3394
θ(測定値)°38.943.182.587.788.1
Q(Dから計算)0.80.97.825.632.3
ESR(Dから計算)Ω0.040.040.020.050.39
θ(Dから計算)°38.443.582.687.888.2

このコイルも22μHとインダクタンスが低いため、Lsモードでの測定で良さそうです。

Core Master製、SRC1317-330M+M、33μH

秋月電子で購入した円筒形のコイルです。
インダクタンスは33μH、許容誤差±20%
直流電流:4.8A
サイズ:φ13mm×15mm

Ls(シリアルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH34.033.034.333.6832.96
D(tanδ)1.5891.3410.1650.0240.026
Q(測定値)0.60.76.040.337.3
ESR(測定値)Ω0.000.000.030.050.55
θ(測定値)°31.736.480.588.588.4
Q(Dから計算)0.60.76.141.738.5
ESR(Dから計算)Ω0.030.030.040.050.54
θ(Dから計算)°32.236.780.688.688.5
Lp(パラレルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスμH124.096.035.233.7132.99
D(tanδ)1.6151.3240.1650.0240.027
Q(測定値)0.60.76.140.336.8
Rp(測定値)Ω0.000.001.3385.3764
θ(測定値)°32.037.180.588.588.4
Q(Dから計算)0.60.86.141.737.0
ESR(Dから計算)Ω0.130.100.040.050.56
θ(Dから計算)°31.837.180.688.688.5

このコイルもLsモードでの測定で良さそうですね。

MITSUMI製、22mH

これまで10μH~33μHと小さめのインダクタばかりだったので、大きいインダクタンスのコイルを測定したらどうなるのか?確認してみました。

MITSUMI製の詳細は不明ですが、22mHの円筒形コイルです。
直列抵抗(DCR)はテスターで測定して約24.5Ωでした。

Ls(シリアルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスmH23.023.022.922.2524.88
D(tanδ)1.6861.4070.1790.0330.016
Q(測定値)0.60.75.629.459.0
ESR(測定値)Ω24.4024.4025.7047.40261
θ(測定値)°30.635.379.888.089.0
Q(Dから計算)0.60.75.630.362.5
ESR(Dから計算)Ω24.424.4325.7446.13250
θ(Dから計算)°30.735.479.988.189.1
Lp(パラレルモード)での測定結果
測定周波数kHz0.10.12110100
インダクタンスmH88.868.823.722.2924.89
D(tanδ)1.6901.4090.1790.0330.016
Q(測定値)0.60.75.629.460.1
Rp(測定値)Ω33.0036.7082841200941000
θ(測定値)°30.535.379.888.089.0
Q(Dから計算)0.60.75.630.362.5
ESR(Dから計算)Ω94.2973.0826.646.22250
θ(Dから計算)°30.635.479.988.189.1

22mHという比較的大き目なインダクタなので、Lsモードの10kHz、100kHzはインピーダンスが大きくなったためか少し怪しくなってきました。

Lpモードの100Hz~120Hzは、22mHでもインピーダンスがまだ低いようで、ちゃんと測れていません。
Lpモードは高周波数(10kHz、100kHz)で使用するようにした方が良さそうですね。

今回はマニュアルで測定しましたが、DE-5000はオートモードで測定すれば、Lsモード・Lpモードを自動で切り替えてくれるようです。

まとめ

秋月電子で購入したLCRメーター DE-5000を使って、いろいろなコイルのインダクタンスを測定してみました。

個人的にはとても気に入ったので、アタッチメントをしまえる専用ケースも買ってしてしまいました。
あとはPC接続用のアタッチメントを買えばコンプリートなんですが。

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