シングルエンド差動変換回路を試してみた

シングルエンド差動変換基板 自作基板
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最近作ろうとしているデジタルアンプICの入力が、たいてい差動入力の仕様になっているので、シングルエンドで使用するのがもったいない?気がしてシングルエンドー差動変換回路(差動ラインドライバ)を作ってみました。

今回の回路は、LM1972電子ボリュームICの出力側にくっつけて基板を製作しています。
このシングルエンド差動変換回路部分のみを使って動作させてみた結果をご紹介します。

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回路図

今回の回路図は下記になります。(参考文献は文末に記載)

回路図:シングルエンド差動変換回路

LM1972電子ボリューム基板の一部なので、部品の参照名が中途半端な数値になっています。ご容赦ください。
左右で2チャンネル分の回路になります。

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部品表

品名参照名数量数値・仕様規格・フットプリント備考購入先
抵抗R18~R2581kΩアキシャルリード(DIN0207)
1/4Wサイズ
例:MF1/4CC1001F秋月電子
R-03375
抵抗R26~R294100Ωアキシャルリード(DIN0207)
1/4Wサイズ
例:MF1/4CC1000F秋月電子
R-03351
電解コンデンサC42~C454100~220µF電解コンデンサ
直径:12.5mm
ピッチ5.00mm
例:UKZ1E221MHM秋月電子
P-04609
コンデンサC34~C3740.1u1608サイズ例:GRM188F11H104ZA01、村田秋月電子
P-13374
コンデンサC38~C4140.1u~1uフィルムコンデンサ
D7.2mm_W5.5mm_P5.00mm
電源デカップリング用
例:MEM105J101RB-5
秋月電子
P-14602
コンデンサC26~C29,45p1608サイズ波形調整用
※今回は未実装
共立電子
514135
コンデンサC30~C3344.7u4532サイズ
(もしくは、スルーホールピッチ5mm)
出力カップリングコンデンサ
1μF以上
例:35MU475MC44532
※今回は未実装
秋月電子
P-08056
ピンヘッダ入力端子2ピンヘッダ 1×2pin
2.54mmピッチ
オペアンプアナログ入力テスト用
例:PH-1x40SG(40pin)を折って使用
秋月電子
C-00167
コネクタJ7, J8,23pin_5.08mmピッチ汎用端子台秋月電子
P-01307
オペアンプU3, U42TL072IPDIP 8pinJFET入力オペアンプ秋月電子
I-13884

※上記の部品リストは参考例です。実際は家に転がっていた別の部品を使用している可能性がありますので、ご了承ください。

オペアンプは、LM1972の出力バッファ部のオペアンプがJFET入力品が推奨されていたので、TL072を使用しています。
この回路の前段にJFETオペアンプのボルテージフォロワを入れる場合は、他のオペアンプに変えてみてもよいかなと思います。

回路シミュレーションで動作確認

事前にフリーソフトの回路シミュレータ、LTspiceで動作確認を行ってみました。

LTspiceでのシミュレーション確認用回路図
LTspiceでのシミュレーション確認用回路図

シミュレーション時のオペアンプは、仮でAD822を使っています。
※LTSpiceのデフォルトで入っていたJFET入力のオペアンプです。適当に選んだんですが結構な高性能品ですね…
シミュレーション結果の波形が下記になります。

シミュレーション波形

周波数10kHz、1VppのSin波を入力したときの波形です。
※入力電圧:V(n002)※緑色は、波形が重なるので-2Vシフトさせて表示しています。
出力電圧はプラス側:V(n005)※青色、マイナス側:V(n011)※赤色になります。
シングルエンドの入力信号が差動出力に変換出来ていることが確認できました。

追加で、ACスイープ機能を使用して周波数特性を確認してみました。
10Hz~1MHzまでのゲインと位相をシミュレーションしています。

シミュレーション結果:ACスイープ

実線がゲインで、破線が位相を示しています。
マイナス側の出力:V(n011)はちゃんと位相が180°反転していることが確認できますね。

負荷抵抗(R7、R8)は、TPA3118D2のデジタルアンプの入力抵抗を想定して、30kΩとしています。(注:TPA3118は、ゲイン設定で入力抵抗が変わります。)
この負荷抵抗と、カップリングコンデンサ(C5、C6)で低周波側のカットオフ周波数が決まります。

また、プラス側とマイナス側の高周波でのゲイン特性がちょっと違いますが、問題ないレベルではないかと思います。

※参考までに、LTSpiceのシミュレーション用データをUPしておきます。

動作確認

実際の回路を動作させて、オシロスコープで波形を確認してみました。

回路基板の写真は下記になります。今回は出力のカップリングコンデンサは無しにして、パッド部をショートしてます。(C30~C33)
※接続先のデジタルアンプ基板に付ける想定です。

シングルエンド差動変換回路の基板

1kHz、10kHz、100kHzでの波形確認結果が下記になります。
約±1VのSin波を入力したときの出力電圧を確認してみました。

1kHz入力時の波形
1kHz入力時の波形
10kHz入力時の波形
10kHz入力時の波形
100kHz入力時の波形
100kHz入力時の波形

CH1:入力電圧
CH2:出力電圧プラス側
CH3:出力電圧マイナス側
MATH:CH2-CH3で差分を計算させて波形を表示させています。

シミュレーションのとおり動作していることが確認出来ました。

まとめ

シングルエンドー差動変換回路(差動ラインドライバ)を作って動作確認を行ってみました。

この回路を使えば、シングルエンドの入力信号を差動に変換して、TPA3118のような差動入力のデジタルアンプICに入力出来るので気分が良いですね。

次は実際にLM1972の電子ボリュームと合わせて動作させたり、デジタルアンプの入力につなげて動作確認を行ってみたいと思います。

参考文献

川田 章弘(2009):OPアンプ活用成功のかぎ:p.45:CQ出版社
AD826を使った回路の紹介があります。

オペアンプ:AD826のデータシートにも応用回路として紹介されています。

単電源の場合の回路は、TIのホームページの下記テクニカルドキュメントで紹介されています。
TPA32xx Analog Input Grounding for Single Ended Inputs:SLAA719

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