100円ショップのLANケーブルを購入してみました。
とはいっても、普通にPCやゲーム機をLANに繋ぐためでなく、分解して電子工作の配線材に使用する目的です。
以前にも要らないLANケーブルを分解して電線を調達したことがあったので、100円で入手できればお得なんじゃないか?と思って試しに買ってみました。
コイツをばらせば良質なツイストペアの銅線ゲットだぜ!と思っていましたが、今回購入したLANケーブルは、銅線ではなくてアルミの銅メッキされた線でした。
※銅皮膜アルミニウム線(CCAケーブル)と言うものらしいです。
気になる方はこれを避けて買った方がよいかもしれませんので、紹介しておきます。
銅皮膜アルミニウム線(CCAケーブル)について
銅皮膜アルミニウム線(CCAケーブル・銅クラッドアルミケーブル)とは、アルミニウムの心線に表面だけ銅をメッキした電線です。
つまり、悪く言えば材料費をケチった廉価版ということです…
有線LANの動作周波数はCAT5で100MHzのようなので、表皮効果も考えれば家庭用ではこれで十分なのかもしれませんね。
ただし、LANケーブルを介して電源供給するPoE(Power over Ethernet)などに使用するときには、電圧降下などの問題が有るようです。
私はPoEに対応した機器を使ったことがありませんが…監視カメラなどの用途でしょうか?
下記の写真のように電線の断面を見てもなかなか判別付きませんが、意識して手に持てば重さで判別可能なレベルだと思います。
言われてみれば、持ち上げてみると、今まで触ってきたLANケーブルと比較して不自然に軽いです。
(表面にキズを付けてみると、アルミニウムの銀色の素地が見えます。)
とは言え、LANケーブルとしても問題なく使えるし、信号線として使う分には問題ないでしょ!?
ということで、分解して抵抗値をはかって見ました。
抵抗値の測定
実験内容
まずはLANケーブルを切って分解します。
このように2本組で捩られた電線(ツイストペアケーブル)が4組入っています。
電線径はAWG26のようです。
今回はこれを解いて1本だけにし、1mあたりの抵抗値を測ってみます。
抵抗値はおそらくかなり小さいので、4端子法での測定、もしくは、ある程度大きな電流を流して電圧降下を測定し、オームの法則で計算してみます。
4端子法での測定
ジャンクのデジタルマルチメーター HP 3478Aを使用して測定してみました。
4端子法は、配線抵抗の影響を無視できる測定方法です。
接続方法は、普通の抵抗を測る時と同様に接続します。
電流を流した時の電圧降下から計算してみる
4端子法で測定出来るデジタルマルチメーターなんて持ってないよという場合に、測定する方法を試してみました。
定電流源から電流を電線に流して、その時の電圧降下を測定します。やっていることは上の4端子法と同じようなものです。
ただ、電流値を好きなだけ増やせるので小さい抵抗値のものはこの方法で測定した方が精度よく測れると思います。
ここでは、定電流源にアドバンテスト R6144、電圧測定に HP 3478Aを使用しました。
精度よく設定できる定電流が無い場合は、実験用の安定化電源を定電流モードで使用して、テスターで電流値を測っても良いと思います。
※電流を流し過ぎると、発熱して誤差が増えたり、燃えたりする可能性があるので注意してください。
実験結果
・4端子法での測定結果:0.342Ω
・電流を流して電圧降下を測った場合
印加電流:160mA
電圧降下:54.77mV
オームの法則V=IRから、R=V/I
R=0.342Ω
今回の実験結果では、どちらも同じ0.342Ωとなりました。
ミスミで同じAWG26の電線の抵抗値を比較すると、だいたい140~150Ω/kmのようです。(@20℃)
つまり、1mあたりの抵抗値は、1000で割って0.14~0.15Ωということです。
測定した温度が20℃と28℃の違いはあるにしても、思った以上に差が大きいですね。
抵抗値は銅線と比べると大きいけど、信号用の配線などに、わかって使う分には良いんじゃないですかって感じですね。
私は買うまで知らなかったんですけどねw
おまけ:Amazonベーシックのスピーカーケーブル
そういえば、私の愛用しているAmazonベーシックのスピーカーケーブルも実は銅皮膜アルミニウム線(CCAケーブル)っぽいことが判明しました。(AWG16サイズ)
これもスピーカー接続用だけでは持て余すので、実験用の配線材として使っていますが、電圧降下がどの程度あるか調べてみました。
・4端子法での測定結果:0.035Ω
※小さすぎてあまり安定して測れないです。
・電流を流して電圧降下を測った場合
印加電流:160mA
電圧降下:5.87mV
オームの法則V=IRから、R=V/I
R=0.0367Ω(36.7Ω/km)
一般的なAWG16サイズの銅線の抵抗値は大体13~15Ω/kmのようなので、Amazonベーシックのスピーカーケーブルは、線径の割に抵抗値が大きいですね。
電子工作の配線材としては、大電流で使用する場合、注意して使う必要がありそうです。(スピーカーケーブルとしてどうなのかは分かりません)
まとめ
100円ショップで購入したLANケーブルが銅皮膜アルミニウム線(CCAケーブル)だったので、抵抗値を測ってみました。
CCAケーブルは、気が付くと自分の持っていたスピーカーケーブルなど、身近に既に沢山あるようですね。
※安物の中華テスターのプローブは磁石に付くという噂を聞いたことが有りますが、まだ出会ったことはありません…
今回は実験用の配線として使うので、大電流を流す電源などに使わなければ問題ないと思いますが、もし仮に自分が家を建てた場合に、CCAケーブルが家庭内のLAN配線として使用されたら嫌な感じですね。全力で阻止しようと思います。
今回測定したスピーカーケーブルは下記になります。