はじめに
秋月電子で購入したマイクロチップ社製電圧リファレンスIC、MCP1501-20を動かしてみたので紹介します。このICはA/Dコンバータのリファレンス電圧として使うのが主な用途のようですが、自分の持っているテスターなどの電圧精度を確認するのに、なにか良いものがないかな~と探していて、購入しました。
MCP1501-20は2.048V±2mV(初期精度0.08%)というスペックです。なんでこんな中途半端な電圧なんだろう?と思いましたが、調べてみると10bitのA/Dコンバータで2mVの分解能、12bitで0.5mVの分解能になり丁度キリが良いとのこと、なるほどですね~。
私は、ヤフオクで購入したADVANTESTのR6144を我が家の電圧・電流基準として愛用していますが、ジャンク・校正されていないので絶対精度はあやしいです。(気にしない方が幸せかもしれませんが)今回はR6144とMCP1501-20の出力を比較してみたいと思います。
回路図、試作
回路図はデータシートの通りで製作してみました。
小規模な回路なので、基板を起こさずに秋月のSMDプロトタイピング基板上に実装してみました。ハサミで切れるかと思って試してみたら、厚みが有りすぎてボロボロになってしまいました。超雑ですが、とりあえず動作確認してみます。
小規模なので、頑張ればSOT-23の変換基板上で組むこともできるかもしれません。今度購入してトライしてみたいと思います。⇒トライしてみました。
測定結果
無事、動作を確認しました。
測定結果とR6144との比較が下記になります。
測定機は、これまた校正していないジャンクの3478A(ヒューレットパッカード製)を使用しました。参考に、最近購入した激安テスターANENG AN870の測定結果ものせておきます。
3478A測定値 | AN870測定値(参考) | |
MCP1501出力 | 2.04860V | 2.049V |
R6144出力 | 2.04912V | 2.049V |
結果はMCP1501-20の方が、2.048Vからの誤差0.6mVと優秀です。規格値2mV以内には余裕で入っています。あとは3478Aの誤差がどの位か不明ですが、なかなか良いんではないでしょうか。AN870は1.9999Vでレンジが上がってしまうため、ギリギリ4桁表示となってしまい少し残念ですが、どちらも2.049Vという結果です。
ちなみに、R6144は1.6Vでレンジが上がって16Vレンジになってしまうため、1.024Vとかだともっと精度よく出せそうです。これもやっぱり優秀ですね。ヤフオクで争奪戦になる訳です。
ANENG AN870の詳細についてはこちらをご覧ください。
追記:SOT-23変換基板で作ってみた
秋月で買ったSOT-23の変換基板上で同じ回路を作たものが下記の写真になります。
裏面にパッドがあるので、コンデンサと抵抗を実装してみました。ブレッドボードにも挿すことが出来、かなりコンパクトになりました。
出力電圧の確認結果です。
測定器の誤差は置いておいたとして、2.048Vからの誤差0.16mVとかなり優秀ですね。
ICによって個体差はありそうですが、これは当たりです。
まとめ
MCP1501-20を動かして我が家の電圧・電流基準として活用できないか試してみました。結果は優秀ですが、R6144も健闘していることが確認できたので我が家では通常これで十分かなという感じです。
ただ、MCP1501-20は秋月で70円で購入出来るのでコスパ良いですね。たまに、絶対的に精度のある物で測定器が問題ないか確認したくなるので、2.048Vだけでなく、他の電圧値のものも欲しくなってきました。(マルツ経由Digi-Keyで買えるみたいです。)
AmazonなどでAD584の電圧リファレンスも売っているので、それも購入して試してみたいと思います。