今さらながらテキサスインスツルメンツ(TI)製のUSBオーディオDAC用IC、PCM270xシリーズを使った基板を作ってみたくなったので、KiCADを使って作成してみました。
今回は、PCM270xシリーズのうち、I2S出力機能を持っているPCM2706Cを使ってみます。
PCM2706Cについて
今回使用するUSBオーディオDAC IC、PCM2706Cです。
共立電子で購入しました。
【仕様】
形名:PCM2706C
メーカー:テキサスインスツルメンツ(TI)※旧 Burr-Brown…ICにロゴが書いてありますね。
USB2.0接続
サンプリング周波数:32kHz、44.1kHz、48kHz
分解能:16bit ⊿ΣステレオDAC
S/PDIF出力あり
I2S出力あり
パッケージ:TQFT32
PCM270xシリーズは、昔から使われているUSBオーディオDACとしては定番のものです。
その中でも、PCM2704が良く使われているイメージがあります。
私が昔から愛用しているヘッドフォンアンプ、TOPPING D2にもPCM2704が使われているようです。
古いICなので今さら感もありますが、今回使用するPCM2706CはI2S出力を持っているので、下記のラズパイオーディオで使ったようなDAC基板と接続して使うことも出来ます。
回路図
今回の回路図は下記になります。
電源はUSBのバスパワー、もしくは外部入力(J2)より5Vを供給します。
三端子レギュレータ(U2、もしくはU4)で3.3Vを生成します。
ジャンパ(J3)で、S/PDIFモード・I2S出力モードを切り替えます。
部品リスト
使用する部品のリストです。
品名 | 参照名 | 数量 | 数値・仕様 | 規格・フットプリント |
抵抗 | R1, R2 | 2 | 22Ω | アキシャルリード (DIN0207)P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R3, R4 | 2 | 1.5kΩ | アキシャルリード (DIN0207)P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R5 | 1 | 10kΩ | アキシャルリード (DIN0207)P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R6, R7 | 2 | 15Ω | アキシャルリード (DIN0207)P10.16mm 1/4Wサイズ |
抵抗 | R8-R11 | 4 | 3.3kΩ | アキシャルリード (DIN0207)P10.16mm 1/4Wサイズ |
コンデンサ | C1, C2 | 2 | 470uF | 電解コンデンサ 直径:8mm、ピッチ3.5mm 秋月電子:110273 |
コンデンサ | C3 | 1 | 10uF | 電解コンデンサ 直径:5mm、ピッチ2~2.5mm 秋月電子:117897 |
コンデンサ | C4-C6, C11 | 4 | 1uF | チップ積層セラミックコンデンサ 1608サイズ 秋月電子:116994 |
コンデンサ | C7, C12, C13, C19 | 4 | 0.1uF | フィルムコンデンサ D9mm_W4mm_ピッチ7.5mm 秋月電子:109790 |
コンデンサ | C8-C10, C14 | 4 | 1uF | フィルムコンデンサ D9mm_W6.4mm_ピッチ7.5mm 秋月電子:109792 |
コンデンサ | C15, C16 | 2 | 0.022uF | フィルムコンデンサ D9mm_W4mm_ピッチ7.5mm 秋月電子:106316 |
コンデンサ | C17, C18 | 2 | 100uF | 出力カップリングコンデンサ 電解コンデンサ 直径:6.3mm、ピッチ2.5mm 秋月電子:102724 |
ダイオード | D1 | 1 | 1N4007-B 1000V、1A | 整流用ダイオード アキシャルリード DO-41_SOD81_P12.70mm 秋月電子:108327 |
USB DAC IC | U1 | 1 | PCM2706C | Package_QFP:TQFP-32 7x7mm_P0.8mm |
三端子 レギュレータ | U2 | 1 | LM1117GS-3.3 ※U4とどちらかを使用 | SOT-223-3 秋月電子:116989 |
光デジタル 通信コネクタ | U3 | 1 | PLT133/T10W | 角型光デジタル通信コネクタ (送信用・シャッター付) 秋月電子:109598 |
三端子 レギュレータ | U4 | 1 | LM2940-3.3 ※U2とどちらかを使用 | TO-220-3 秋月電子:114505 |
水晶発振器 | X1 | 1 | 12MHz、3.3V | SG8002DC-12MHz-PCB 秋月電子:103925 |
リセッタブル ヒューズ | F1 | 1 | MR-F050など (Bourns) | 0.5A、1Aで遮断、耐圧60V 秋月電子:P-12628 |
EMIフィルタ | FL1 | 1 | BNX012-01 | 50VDC、定格電流15A 秋月電子:P-05217 |
USBコネクタ | J1 | 1 | USB_Bタイプ(メス) | 基板取付用 秋月電子:100161 |
ターミナル ブロック | J2 | 1 | 2pin、5.08mmピッチ 外部5V入力用 | 汎用端子台 秋月電子:P-01306 |
ピンヘッダ | J3 | 1 | 2pin 2.54mmピッチ Open:S/PDIF Short:I2S | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J4 | 1 | 4pin 2.54mmピッチ アナログ音声出力 | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J5 | 1 | 2pin 2.54mmピッチ Shortでサスペンド | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J6 | 1 | 8pin 2.54mmピッチ I2S出力 | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J7 | 1 | 2pin 2.54mmピッチ Short:Data_out-Data_in ※テスト用 | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J8 | 1 | ShortでU3へ接続 S/PDIF-TOSLINK用 | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | J9 | 1 | 2pin 2.54mmピッチ 外部ROM用信号ピン | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
ピンヘッダ | JP1 | 1 | 2pin 2.54mmピッチ Shortでバスパワー動作 | 秋月電子:C-00167 折って使う用 |
KiCADで基板設計
フリーの基板設計ソフトである、KiCADで基板設計を行いました。
基板サイズは50mm×100mmです。
3Dビュー表示
表側(ディスクリート部品を乗せていない状態)
表側(部品を乗せた状態のイメージ)
裏側(はんだ面、部品無し)
部品レイアウト
表側の部品配置図です。
裏側には部品はありません。(はんだのみ)
Elecrowに基板発注
多面取り(パネライズ)して発注
中国の基板メーカー、Elecrowに発注して製造してもらいます。
今回も、2枚並べて100mm×100mmにして発注します。
裏側
中央のシルクの線の部分にVカットを入れてもらいます。
到着した基板
Elecrowから到着した基板です。今回もレジストは黄色です。
【仕様】
層数:2層(両面基板)
基板板厚:1.0mm
銅箔厚:35µm(1oz)
レジスト色:黄色
表面処理:鉛フリー半田レベラー
基板裏側
調子に乗ってQRコードを入れてみましたが、シルクが潰れて?読み込めません。
PCM2706CのICを置いてみたところ。
フットプリントのサイズは問題なさそうで安心しました。
まとめ
今さらながらテキサスインスツルメンツ(TI)製のUSBオーディオDAC用IC、PCM2706を使った基板を作ってみました。
PCM2706は、I2S出力機能を持っているので、別のDACと接続して遊ぶことも出来ます。
組み立て、動作確認出来たら、また更新します。
参考リンク
トランジスタ技術SPECIAL No.130 ハイレゾ・オーディオの回路技術と製作の素:CQ出版
PCM270xシリーズ(PCM2704、PCM2707)の記事があります。
トランジスタ技術 2013年2月号 作る!Myデジタル・オーディオ、P56~:CQ出版
PCM2704、PCM2705の記事があります。
共立電子のPCM2706を使用したUSBオーディオインターフェースキット