今回購入したのは、シガーソケットに挿して、USBからスマホなどを充電するカーチャージャーです。
USB Type-C付きで1ポート最大3A出力可能なものです。
こちらは、ダイソーで300円で購入しました。
普通車の12V以外にも24Vにも対応しています。
つまり、入力電圧範囲が広いICが使われていそうということで、興味があったので購入してみました。
外観写真
パッケージ写真
購入したカーチャージャーのパッケージ写真です。
本体写真
出力ポートはUSB Type-C、Type-Aの2種類があります。
シガーソケットに挿すタイプなので、先端のポッチが+極、側面の2か所が-極(GND)です。
製品仕様
本体に記載してあるとおりですが、仕様は下記になります。
- 入力電圧:DC12V~24V、シガーソケットプラグ
- 出力電圧:5V
- 出力電流:3.1A(2ポート合計)
出力ポートは、USB Type-C、Type-Aの2種類があり、各ポート3Aまでです。
3Aまで出力できるものは少ないので、貴重ですね。
大抵はパッケージに3Aと記載があっても、よく見ると実は各ポート2.1Aまでで、「合計出力で3Aで~す。」と書いてあってガッカリする製品が多い印象です。
分解してみる
本来の用途である車でのスマホ充電は、ちゃんと行えることを確認しました。
早速ですが、分解してみたいと思います。
使われているICは?
HC2027と書いてある8ピンSOPのICがあります。
これが降圧DC/DCコンバータICのようです。
ググってみると、データシートは拾えませんでしたが、下記の情報がありました。
- 入力電圧:8V~36V
- 出力電圧:5V
- 出力電流:3.1A
何故か3ピンの部分だけはんだ付けされていないように見えますが、ちゃんと動いています。
もう一つ、6ピンのHC2802という小さいICがあります。
これは、USBでスマホなどを急速充電する時の識別ICのようです。
詳しくは判りませんが、USBのD+、D-の電圧を良い感じにすることで、スマホ側がこの電源で急速充電可と判断するようです。
動作確認
実験用の安定化電源に繋いで動作確認をしてみました。
【動作条件】
入力電圧:15V
負荷抵抗:6Ω(18Ωを3個並列、出力電流0.833A)
波形確認
【スイッチング周波数の確認】
下記の波形は、インダクタの手前の電圧を測定したものです。
スイッチング周波数は、約142kHzでした。
思ったより高速です。
【出力リプル電圧波形の確認】
出力リプル電圧はおよそ42mVppでした。
スペアナ機能でノイズを測ってみる
アクティブラーニングモジュールADALM2000のスペアナ機能で、先ほどの出力リプル電圧ノイズの周波数成分を測ってみました。
動作条件はリプル電圧測定時と同じで、16回平均させた結果になります。
スイッチング周波数付近でピークがあります。
変換効率の測定
手持ちのテスター類で入出力電圧・電流を測定して変換効率を確認してみました。
あり合わせのジャンク測定器での確認なので、精度は無いので参考までに。
使用した電子負荷「ATORCH DL24」については、下記の記事を参照ください。
【測定条件】
入力電圧:15V
出力電圧:5V
出力電流:0.5A、1.0A、1.5A、2.0A、2.5A、3.0A
出力電圧は、USBケーブルの電圧降下の影響を避けるため、USBテスターを使ってケーブルの手前側を測定しました。
出力電流が3Aともなると、USBケーブルの電圧降下もかなりのものになりますね。
入力電圧・電流の確認結果
入力電圧(V) | 入力電流(A) | 入力電力(W) |
14.947 | 0.19 | 2.87 |
14.877 | 0.38 | 5.61 |
14.809 | 0.57 | 8.44 |
14.733 | 0.77 | 11.34 |
14.654 | 0.98 | 14.36 |
14.568 | 1.20 | 17.48 |
配線抵抗と入力電流測定のシャント(0.3Ω)のせいで、入力電圧がドロップしています。
出力電圧・電流の確認結果
出力電圧(V) | 出力電流(A) | 出力電力(W) |
5.190 | 0.50 | 2.60 |
5.175 | 1.00 | 5.18 |
5.169 | 1.50 | 7.75 |
5.156 | 2.00 | 10.31 |
5.147 | 2.50 | 12.87 |
5.146 | 3.00 | 15.44 |
DC/DCコンバータとしての実力を見るため、USBケーブルの手前で測定しており、電圧は高めです。
変換効率の確認結果
出力電流(A) | 変換効率(%) |
0.5 | 90.42 |
1.0 | 92.27 |
1.5 | 91.85 |
2.0 | 90.90 |
2.5 | 89.60 |
3.0 | 88.31 |
出力のUSBケーブルの電圧降下を無視した値ですが、思ったよりも変換効率が高いですね。
1A付近が最も効率が高く、92%以上でした。
自分で基板を作ったNJW1616の降圧DC/DCコンバータが、300円の製品に出力電流も効率も負けているので泣きそうです。
しかしNJW1616基板については、スイッチング周波数が高いことと、リプルノイズが小さいというメリットがあるので、良しとしましょう。
※リセッタブルヒューズ(ポリスイッチ)をやめればもう少し効率が上がりそうな気もしています。
まとめ
100円ショップ、ダイソーで300円で購入したカーチャージャーを分解して、DCDCコンバーターとして動作確認を行ってみました。
思ったよりも高効率で、3A出力が出来るので嬉しいですね。
今後は、元のケースを破壊してしまったので、単体のDC/DCコンバータとして使って行こうと思います。
最後になりますが、改造は危険なので絶対にマネしないように!
※分解は自己責任でお願いします。