秋月電子で買える小型8ピン面実装オーディオアンプICの基板を全部作りたい。
少し間が開いてしまいましたが、今回はDiodes Inc社のデジタルアンプ(D級アンプ)IC、PAM8304の基板を作ってみました。
PAM8304について
PAM8304は、Diodes Inc社製のモノラルD級パワーアンプICです。
秋月電子で購入可能な「PAM8304ASR」は、MSOP8パッケージでかなり小型です。
PAM8304の主な仕様
電源電圧:2.8V~6.0V
出力電力:3W(4Ω負荷、電源5V時、THD+N=10%)
2.4W(4Ω負荷、電源5V時、THD+N=1%)
効率:90%(出力電力1W、8Ω負荷時)
スイッチング周波数:400kHz
パッケージサイズ:MSOP-8L
回路図
今回の回路図は下記になります。
基本はデータシートどおりの回路です。

回路は、以前作ったPAM8302Aの基板とよく似ています。
PAM8304の信号入力は差動になっています。
シングルエンド入力で使用する場合は、IN-をGNDに接続します。
SD端子はLoでシャットダウン状態になります。
今回の回路図では、起動時の遅延として、R3(100kΩ)とC7(1μF)を入れています。
定数はポップノイズなどを確認して調整が必要かもしれません。
出力には、データシートに記載のEMIフィルタ(フェライトビーズとコンデンサ)を入れています。
ゲイン計算について
PAM8304の内部ブロック図は下記になります。(データシートより)

入力抵抗Ri(回路図R1、R2)とPAM8304内蔵のRf=300kΩより、下記の計算でゲインが決まります。
・ゲイン(倍)=Rf/Ri
・ゲイン(dB表記)=20×log10(Rf/Ri)
計算例を表にまとめてみました。
| Ri(kΩ) | Rf(kΩ) | ゲイン(倍) | ゲイン(dB) |
| 10 | 300 | 30 | 29.54 |
| 15 | 300 | 20 | 26.02 |
| 22 | 300 | 13.64 | 22.69 |
| 33 | 300 | 9.09 | 19.17 |
| 36 | 300 | 8.33 | 18.42 |
| 39 | 300 | 7.69 | 17.72 |
データシートではゲイン18dB時の特性が代表例で記載されています。
今回は、Ri=33kΩ(ゲイン19.17dBねらい)で製作してみます。
カップリングコンデンサCiについて
入力抵抗Ri(回路図R1、R2)と、カップリングコンデンサCi(回路図C1、C2)により、ハイパスフィルタが形成されます。
カットオフ周波数fcは、下記の計算式で決まります。
・カットオフ周波数fc=1/(2πRiCi)
今回のRi=33kΩでの計算例を表にまとめてみました。
| Ri(kΩ) | Ci(μF) | カットオフ周波数(Hz) |
| 33 | 0.1 | 48.23 |
| 33 | 0.22 | 21.92 |
| 33 | 0.47 | 10.26 |
| 33 | 1 | 4.82 |
カットオフ周波数を約20Hzねらいとするならば、0.22μF程度でも良さそうです。
基板外付けで安価なリード部品のフィルムコンデンサを使うのもアリですね。
部品リスト
今回の部品リストは下記になります。
| 品名 | 参照名 | 数量 | 数値・仕様 | 規格・フットプリント |
| パワーアンプIC | U1 | 1 | PAM8304ASR | パッケージ:MSOP-8_P0.65mm 秋月電子:113716 |
| 抵抗 | R1,R2 | 2 | 33kΩ | チップ抵抗器 1608サイズ 秋月電子:106333など |
| 抵抗 | R3 | 1 | 100kΩ | チップ抵抗器 1608サイズ 秋月電子:130357など |
| フェライトビーズ | L1,L2 | 2 | BLM18PG471SN1D | フェライトビーズ 1608サイズ 秋月電子:104444など |
| コンデンサ | C1,C2 | 2 | 1μF | 薄膜高分子積層コンデンサー(PMLCAP) 3216サイズ 秋月電子:107397 ※カップリングコンデンサ |
| コンデンサ | C3 | 1 | 10μF | チップ積層セラミックコンデンサ 3216サイズ 秋月電子:114741など |
| コンデンサ | C4,C7 | 2 | 1μF | チップ積層セラミックコンデンサ 1608サイズ 秋月電子:130397など |
| コンデンサ | C5,C6 | 2 | 220pF | チップ積層セラミックコンデンサ 1608サイズ 共立エレショップ:51413Z |
| ピンヘッダ | J1 | 1 | 7pin、2.54mmピッチ | 2.54mmピッチピンヘッダ 1列×40(折って使う前提) 秋月電子:100167 |
カップリングコンデンサ(C1、C2)に、一応こだわって薄膜高分子積層コンデンサー(PMLCAP)を使いたいと考えています。が、今回のパワーアンプIC PAM8304よりも高価です。
無理をせずチップセラミックコンデンサを使うか、外付けのフィルムコンデンサでも良いかもと思います。
電源のデカップリング用のチップセラミックコンデンサ(C3、C4)は、耐圧低めの製品を選べば、同サイズでより大容量のものが使えると思います。(今回のICは電源電圧MAX6V)
KiCADで基板設計
今回もフリーの基板CAD、KiCADを使用して基板設計を行いました。
今回からKiCADのバージョンをVer.10に更新しています。


基板サイズは20mm×20mmです。
小さい周辺部品を使えば、もっと小型に出来そうですが、結果的にPAM8302Aと同じ基板サイズになっています。
3Dビュー表示
基板表面

基板裏面

部品レイアウト
表側の部品配置図です。

裏面には部品はありません。
シルクでピン名称を記載しています。

一旦まとめ
秋月電子で買えるDiodes Inc社製のモノラルD級パワーアンプIC、PAM8304の基板を作ってみました。
一旦基板設計のみで、これから多面取り(パネライズ)を行い、他案件と合わせて基板メーカーに発注したいと考えています。
また進捗あれば更新します。
参考リンク
D級アンプIC購入先
D級アンプIC公式のホームページ
以前作ったPAM8302Aの基板


