パワーアンプICを使ったレールスプリッタ回路基板その2 【製作・動作確認】

パワーアンプICを使ったレールスプリッタ回路基板モジュール自作基板

前回の記事で作った、オーディオパワーアンプICを使ったレールスプリッタ回路基板を製作して動作確認を行ったので記事にまとめます。

結論を先に書くと、LM1875とTDA2030Lは動作OKµPC2002は動きませんでした。

前編(回路図・部品表など)は下記のページを参照ください。

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製作

LM1875、TDA2030L、µPC2002の3種類のICでそれぞれ基板を製作しました。

今回の基板はチップ部品を使わないので、半田ごてが入らずに製作不可になる心配はないですが…
作業性のために、背の低い部品から載せていきましょう。

µPC2002のみリードのフォーミング形状が違うので、頑張って入る様に修正しました。根元をピンセットで支えながら、既に曲げてある部分の角度を修正していくのが良いと思います。

LM1875、TDA2030L、µPC2002の3種類のパワーアンプIC
LM1875、TDA2030L、µPC2002の3種類のパワーアンプIC
LM1875、TDA2030L、µPC2002の3種類のパワーアンプIC(µPC2002のリード修正)
µPC2002のリードを修正

【完成写真】
ICの放熱版は絶縁モールドされていないため、放熱シートとプラネジで絶縁して取り付けています。ヒートシンクは一応基板パターンと接触しないようにしていますが、念のため。
出力電圧の端子部に、ダミー負荷で2.2kΩを付けています。

レールスプリッタ基板完成写真(LM1875版)
レールスプリッタ基板(LM1875版)
レールスプリッタ基板完成写真(LM1875版、S面側)
基板S面側(チップコンデンサは載せませんでした)

動作確認

下記の3種類のICで製作した基板の動作を確認してみました。

3種類のICで製作したレールスプリッタ基板

UTC製 LM1875

入力電圧16V~18Vで動作することを確認しました。(ICの動作電圧±8~±30Vより、16Vスタートとしています。)
初めに、可変抵抗を回して±電圧が揃うように調整が必要です。
消費電流は56mAくらいです。(2.2kΩ負荷、18V入力時)
ヒートシンクは無負荷時でも手で触るとほんのり暖かみを感じます。

調子に乗って他のICもどんどん動作確認してみます。

UTC製 TDA2030L

12V~18V入力で動作OKでした。(ICの動作電圧±6V~±18Vより、12Vスタートとしています)、消費電流は22mAくらいです。(2.2kΩ負荷、18V入力時)
ヒートシンクはLM1875と比較すると、無負荷ではぜんぜん熱を感じません。
省エネ性ではTDA2030Lの方が良さそうですね。入力電圧12Vから動作出来るのも魅力です。

NEC製 µPC2002

µPC2002は残念ながら他のICと同じ回路では動作しませんでした。
動けばより低い電圧で使えそうだったので期待していたのですが…

発振しているわけではありませんが、プラスマイナスの出力電圧が中途半端な値になり、可変抵抗を回しても調整できません。

残念ですが一旦諦めます。

【状態】
・出力電圧は発振していない
・±の出力電圧が中途半端な値になって、可変抵抗を回したら電圧は動くけど調整範囲外のまま。
・しかも電源電圧を変えると、±の電圧比がずれていく挙動。
・電源電圧を上げるほど、マイナス側の電圧が低下する。

【予想】
入力バイアス電流が悪さをしてるのかな~と思い下記を試してみました。
※データシートには入力バイアス電流のデータはありません。推奨回路を見ると、単電源用のICだからなのかも有りますが、マイナス入力部直ぐにコンデンサでDCカットしてあります。
しかもフィードバック抵抗Rfが220Ω、Rsが2.2Ωと極端に小さいですね。
R3(1kΩ)間の電圧降下を見たところ、入力電圧12V時で270mVもありました。(LM1875品では2.2mVでした。)

µPC2002応用回路例(データシートより)
µPC2002応用回路例(データシートより)

【変更】
・ワンチャンR3とR4を小さくしてどうなるか試してみました。
 とりあえずR3に2.2Ω、R4に220Ωを並列で実験。
 →やっぱりダメでした。(マイナス側の電圧が0.7V位にはりつきます。)
・Vin-(2pin)にコンデンサを挿入してみる。
 秋月電子で公開してくれている資料をよく読むと、このICには、IC内蔵の拡散抵抗(14kΩ)が2pin-4pin間にあるようです。つまり、フィードバック抵抗が既に内蔵されているような状態でしょうか。
 推奨回路の通り、コンデンサを入れてみたらどうなるか試してみました。
 →やっぱりダメでした。(マイナス側の電圧が徐々に上がり続けてしまいます。)

波形確認

動作時の波形を確信したところ、C4(1000pF)を付けた状態ですが、特に出力電圧が発振したりはしていないようです。
追加で下記の波形をオシロスコープで確認してみました。

電源投入時の立ち上がり波形

電源投入時の出力電圧を確認してみました。(仮想GND基準で測定)

LM1875品の立ち上がり波形
LM1875品の立ち上がり波形
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧
TDA2030L品の立ち上がり波形
TDA2030L品の立ち上がり波形
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧

LM1875は途中でがくんと変動が有りますが、それ以外は問題なさそうです。
TDA2030Lは綺麗に立ち上がっています。

入力をDCDCコンバーターにしたときのリプル電圧の確認

コモンモードフィルタ(ムラタ:BNX012-01)の効果を見たくて、入力電圧をDC/DCコンバーターから供給したときのリプル電圧の波形を見てみました。
LM2577の中華昇圧DC/DCコンバータモジュールをつないでいます。(9V入力、16V出力)

LM2577のDC/DCコンバータモジュールを接続

入力電圧には約52kHzのスイッチングノイズが乗っています。比較的低い周波数なので除去できるか不安でしたが、コモンモードフィルタ前後でリプル電圧がほぼ奇麗に消えていることが確認できました。
※コモンモードフィルタ後のGNDを基準に測定。

入力電圧のリプル電圧
DC/DCコンバーターからの入力電圧
CH1:コモンモードフィルタ前のリプル電圧
CH2:コモンモードフィルタ後のリプル電圧

レールスプリッタの出力電圧をACで測定しても、DC/DCコンバータのスイッチングノイズは綺麗に消えています。
これなら、入力電源にスイッチング電源を使っても問題なさそうですね。

レールスプリッタの出力電圧(AC)
レールスプリッタの出力電圧(AC)
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧

負荷を変えた時の応答波形

本当は、MOSFETでスイッチングさせてかっこよく応答波形を見てみたかったですが、取り急ぎ68Ωのセメント抵抗をマイナス側出力間に手動で繋いだ時の波形を見ています。

LM1875の応答波形(10μs/div)
LM1875の応答波形(10μs/div)
負荷2.2kΩ→68Ω
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧
TDA2030Lの応答波形(10μs/div)
TDA2030Lの応答波形(10μs/div)
負荷2.2kΩ→68Ω
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧

特に負荷変動による電圧の過渡的な変化(オーバーシュートとか)は無さそうです。

LM1875の応答波形(100ms/div)
LM1875の応答波形(100ms/div)
負荷2.2kΩ→68Ω
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧
TDA2030Lの応答波形(100ms/div)
TDA2030Lの応答波形(100ms/div)
負荷2.2kΩ→68Ω
CH1:マイナス側の出力電圧
CH2:プラス側の出力電圧

レンジを100ms/divに伸ばすと、電圧が変化して戻っているように見えますが、これは入力電圧自体が少しドロップしているためのようです。(ACレンジのためこのように見えます)
これは配線抵抗と、リセッタブルヒューズ(今回 MF-RX030を使用)の電圧降下だと考えます。もっと抵抗の小さい普通のヒューズに変えれば改善するかもしれません。

まとめ

オーディオパワーアンプICを使ったレールスプリッタ回路基板を作って動作確認してみました。

LM1875とTDA2030Lでは問題なく動作することを確認出来ました。
µPC2002は今回断念しましたが、動かす方法がないか調べてわかればまた更新したいと思います。

LM1875とTDA2030Lの使い分けは、低消費電力・低電圧で動かしたいものはTDA2030Lを使用したほうが良さそうです。
今回は実験用電源の都合で18V入力までしか試しませんでしたが、LM1875は±30Vまで対応しているので、より高電圧で使いたい場合に良さそうですね。(部品の耐圧には注意してください)


自作基板電子工作
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