USBでPCに接続できる中華テスター HoldPeak製HP-90EPCを購入してみた

HoldPeak テスター HP-90EPC 計測機器
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HoldPeak製の中華テスター HP-90EPCを購入してみたので、紹介します。

以前にも、PCにUSB接続可能なテスターとして、同社製のHP-90Kを紹介しましたが、フリーソフトのデータロガーソフトTsDMMViewerに対応していなかったのが不便な点でした。

そのため、TsDMMViewer動作確認済みとされているHP-90EPCを追加で購入してみました。

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HP-90EPCの特徴

・USBでPCに接続可能
このテスターの目玉機能です。付属の通信ソフトもありますが、TsDMMViewerでの動作確認済みの機種です。

・4000カウント
HP-90Kは6000カウントなのでここは劣ります。

・オートバックライト機能あり
本体前面に明るさセンサのCdSがついています。

・電池は角型9V(006P)
内心は、あまりこの電池の機種を増やしたくないのですが、どんどん増えてきています。(放置した時の液漏れが怖い)

・コンデンサ容量、周波数、温度、Duty測定機能あり

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外観、スペック・機能

開封・外観写真

箱の写真
しっかりした箱に入っています
開封時の写真と付属品一式
付属品一式
本体正面の写真
本体正面の写真
右側の丸はオートバックライト用のCdSセルです。
スタンドで立てた状態とUSBポート
USBポートは天面のカバーを外すと出てきます。
カバーを外すドライバーも付属しているので良心的ですね。
端子は本体・PC側いずれもタイプAのコネクタです。
本体裏側の写真
本体裏面の写真
テストリードをはめ込む窪みがあります。
電池フタの開封
電池フタを開けた状態
本体側にはインサートナットがあります。
電池とドライバーは付属していたものです。

スペックについて

付属のマニュアルから主な仕様をまとめて記載しておきます。
長いので不要な方はサイドバーの目次メニューなどを使って読み飛ばして下さい。

DC電圧
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
400mV0.1 mV±(0.5%rdg+2dig)20.22.2mV
4V1 mV±(0.5%rdg+2dig)20222mV
40V10mV±(0.5%rdg+2dig)20020220mV
400V0.1V±(0.5%rdg+2dig)2.00.22.2V
1000V1 V±(0.8%rdg+2dig)8.0210V

取説によると、入力インピーダンスは10MΩ、400mVレンジは100MΩ以上だそうです。

%rdg誤差について

HP-90EPCの%誤差はリーディング誤差のようなので、%誤差の部分は測定値に比例します。今回はレンジMAX値で測定したとして計算してますので、ご注意ください。
例:測定値1Vの場合、%誤差5mVで合計誤差7mV

AC電圧
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
4V1 mV±(0.8%rdg+3dig)32335mV
40V10mV±(0.8%rdg+3dig)32030350mV
400V0.1V±(0.8%rdg+3dig)3.20.33.5V
1000V1 V±(1.2%rdg+3dig)12.0315V

真の実効値(True RMS)には対応していないようですので、測定して比較してみたいと思います。

測定周波数範囲は40Hz~400Hzです。
高周波には対応していませんが、ちゃんと説明書に書いてくれているのは良心的ですね。

DC電流
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
400μA0.1 μA±(1.2%rdg+2dig)4.80.25μA
4000μA1 μA±(1.2%rdg+2dig)48.0250μA
40mA10 μA±(1.2%rdg+2dig)480.020500μA
400mA0.1 mA±(1.2%rdg+2dig)4.80.25mA
4A1 mA±(2%rdg+3dig)80.0383mA
20A10 mA±(2%rdg+3dig)400.030430mA

400mAレンジはPPTCのリセッタブルヒューズの保護あり。
20Aは10秒以下で使えとあります。

AC電流
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
400μA0.1 μA±(1.5%rdg+3dig)6.00.36.3μA
4000μA1 μA±(1.5%rdg+3dig)60.0363μA
40mA10 μA±(1.5%rdg+3dig)600.030630μA
400mA0.1 mA±(1.5%rdg+3dig)6.00.36.3mA
4A1 mA±(2.5%rdg+5dig)100.05105mA
20A10 mA±(2.5%rdg+5dig)500.050550mA

AC電圧と同じく周波数範囲は40Hz~400Hzです。

抵抗値測定
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
400Ω0.1 Ω±(1%rdg+3dig)4.00.34.3Ω
4kΩ1 Ω±(1%rdg+2dig)40.0242Ω
40kΩ10 Ω±(1%rdg+2dig)400.020420Ω
400kΩ100 Ω±(1%rdg+2dig)4.00.24.2
4MΩ1 kΩ±(1%rdg+2dig)40.0242
40MΩ10 kΩ±(1.5%rdg+3dig)400.030430
コンデンサ静電容量
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
51.2nF10pF±(3%rdg+10dig)1.50.11.6nF
512nF100pF±(2.5%rdg+5dig)12.80.513.3nF
5.12µF1nF±(2.5%rdg+5dig)128.05133nF
51.2µF10nF±(2.5%rdg+5dig)2.60.12.7μF
100μF100nF±(5%rdg+10dig)5.016μF

HP-90Kと比べて最大100µFと測れる容量が小さいです。(他のテスターと比べても小さいです。)

周波数測定
測定レンジ分解能精度%誤差dig誤差合計誤差誤差単位
5.12Hz0.001Hz±(0.1%rdg+5dig)0.010.0050.010Hz
51.2Hz0.01Hz±(0.1%rdg+5dig)0.050.050.10Hz
512Hz0.1Hz±(0.1%rdg+5dig)0.510.51.0Hz
5.12kHz1Hz±(0.1%rdg+5dig)5.12510Hz
51.2kHz10Hz±(0.1%rdg+5dig)0.050.050.10kHz
512kHz100Hz±(0.1%rdg+5dig)0.510.51.0kHz
5.12MHz1kHz±(0.1%rdg+5dig)5.12510kHz
温度測定
測定レンジ分解能精度
-20~150℃1℃±(3%+1dig)
150~1000℃1℃±(3%rdg+2dig)

温度測定用のプローブが付属しています。

その他機能

・USBによるPC接続機能

・ダイオードテスト
 順方向電流:0.4mA
 逆方向電圧:約1.5V

・導通チェックモード
 100Ω以下でブザーが鳴ります。
 開放時電圧:約0.5V

・Dutyサイクル測定
 測定レンジ:0.1%~99.9%
 精度:±(2%rdg+2dig)
 周波数は10kHz以下

・オートバックライト

HP-90Kとの比較表

付属の箱にHP-90シリーズ一覧の記載が有ったので載せておきます。
このHP-90シリーズだけでこんなに種類があるんですね。

HoldPeak HP-90シリーズの一覧
箱の裏に書いてあったHP-90シリーズの一覧

先日購入して紹介したHP-90Kは、デジタルエンジンアナライザーとして別枠扱いとなっています。

HP-90EPCとHP-90K

動作確認

【測定環境】
電圧・電流源として、アドバンテストのR6144(ジャンク品)を使用。
その他の比較対象として、サンワのPC7000、ジャンクのヒューレットパッカード製マルチメーター 3457と比較してみました。

DC電圧測定

※ちゃんとしたものは新品で買ったサンワのPC7000だけです。
 R6144と3457Aはジャンクで購入したものなのでご参考までに。

電圧測定時のようす
電圧測定時のようす

測定結果が下記の表になります。
測定値は単位を揃えず、実際にモニタに表示された値を記入しております。

R6144
出力設定値
HP-90EPC
測定値
PC7000
測定値
3457A
測定値
16.000mV16.015.99216.00476
160.00mV160.4160.129160.0931
0.3900V390.6390.1580.390054
-0.3900V-390.4-390.165-0.390020
1.6000V1.6031.600581.600170
3.900V3.9073.901983.90083
-3.900V-3.908-3.90235-3.90076
16.000V16.0216.006516.00169
32.000V32.0432.012232.0026
-32.000V-32.0432.0132-32.0024

オートレンジ時は、4000カウント以上で直ぐ上のレンジに上がり、元のレンジに戻るのは3500カウント以下の挙動です。6200カウントまでいけたHP-90Kと比較するとちょっといまいちですね。

測定値は4Vレンジで若干ズレが見受けられますが、まあスペックの範囲内です。
そして、4桁表示なのが寂しいですが、実用上は十分だったりします。
4V~10Vまでの間が3桁表示になってしまうのが、桁数マニアとしては我慢できませんが…

PC接続確認

付属のソフトは使用せずに、フリーソフトのTsDMMViewerでPCと接続して動作することを確認してみました。

「Sanwa PC20」を選択して接続すると、問題なく通信することが出来ました。

DC0.1V~32Vまで、0.1V刻みでゆっくり電圧を上げていった時の動作をログにとってみました。データは毎秒3回記録されているようです。
オートレンジの電圧が切り替わる際に、数値がオーバーシュートして記録されているのが気になります。(実際にはそのような電圧は掛かっていないはずです)

TsDMMViewerでPC接続(1)
TsDMMViewerでPC接続(1)
400mV付近でオーバーシュートあり
TsDMMViewerでPC接続(2)
TsDMMViewerでPC接続(2)
4V付近でオーバーシュートあり

※参考までに、上記の結果ファイルはこちらにアップロードしておきます。(csvファイル)

AC電圧 真の実行値(True RMS)比較

HP-90EPCは、真の実効値(True RMS)に対応していないようです。
なので、正弦波以外の三角波などの実効値はズレて計測されるはずです。

ファンクションジェネレータ(岩通製 SG-4111 ジャンク品)から、100Hz、±1.42Vppの正弦波、三角波、矩形波を測定して、どのような値が出るか比較してみました。

波形を比較した測定器

・比較した波形

正弦波の波形
正弦波
三角波の波形
三角波
矩形波の波形
矩形波
測定器正弦波三角波矩形波
PC70001.00350.82111.4287
3478A1.001730.820321.42534
HP-90EPC1.0010.7871.573

正弦波の実効値は、電圧のピーク値1.42/√2≒1.004Vなのでどれも問題なく測れています。
三角波の実効値は、電圧のピーク値1.42/√3≒0.820Vなので、真の実効値に対応していないHP-90EPCのみズレがあります。
同じく、矩形波の実効値は電圧のピーク値と同じになるので、HP-90EPCのみズレがあることを確認しました。

DC電流測定

DC電流測定時のようす
DC電流測定時のようす
R6144
出力設定値
HP-90EPC
測定値
PC7000
測定値
3457A
測定値
0.3990mA3994399.220.399204
-0.3990mA-3996-399.18-0.399186
4.000mA39964002.64.00111
-4.000mA-3997-4002.7-4.00094
16.000mA16.0416.00416.00253
39.80mA39.9339.81739.8027
-39.80mA-39.94-39.82-39.8008
160.00mA160.2160.04159.9817

抵抗値の測定

抵抗器測定時のようす
抵抗器測定時のようす
抵抗器HP-90EPC測定値PC7000測定値3457A測定値
15Ω±5%14.814.9914.90217
220Ω±1%220.7220.34220.2862
1.5kΩ±1%1.5031.50161.501658
3.3kΩ±1%3.3033.30043.29993
10kΩ±1%10.029.99910.0013
191.5kΩ±1%191.9191.72191.6905
2.2Ω±5%2.32.282.19336
3.9MΩ±5%3.9783.96923.97631

コンデンサ容量測定

コンデンサ測定時のようす
コンデンサ測定時のようす
コンデンサHP-90EPC測定値PC7000測定値DE-5000測定値
150pF±5%0.460.17152.5
6.8nF±5%7.226.816.776
68nF±10%70.269.168.87
0.47μF±10%485.1477.3474.7
6.8μF6.906.796.696
22μF22.4721.6620.80
2200μFOL2.0351880.2

HP-90EPCの測定レンジは最大100μFまでなので、2200μFの電解コンデンサは計測範囲外でした。

まとめ

HoldPeak製の中華テスター HP-90EPCを購入してみたので、紹介と動作確認をしてみました。

良い点は、なんといってもUSBでPC接続可能!そしてTsDMMViewerで動作可能な所でしょう。PC接続可能なテスターが一台でもあると、心強いですね。

悪い点やイマイチ点を挙げさせてもらうと…沢山あるので箇条書きにしておきます。

全体的に動作がもっさりしています。サンワのPC7000と比較しては仕方ないですが、HP-90Kと比較してもさらにもっさり感があります。
数値の更新レートは3回/秒のようですが、なかなか安定しないのが原因でしょうか。

AC電圧が真の実効値(True RMS)に対応していないです。個人的にはあまり困りませんが…

コンデンサの測定可能容量が小さい。(MAX 100µFです)

オートバックライトがオフできない。(オフにするやり方がわからない)夜な夜な部屋を暗くしてデータロガーとして使用する時にバックライトが作動して電池が切れる恐れがあります…これは何気に困った問題になるかもしれません。

オートバックライト作動時の様子
10円玉でCdSセルを塞いでバックライトを光らせた様子

9V角型電池:最近この電池のテスターばかり購入して増えてきています。百均でも手にはいるので入手性に難がある訳ではあませんが、液漏れには注意が必要です。

参考リンク

HP-90Kとの比較のため、分解してみました。

今回比較したSANWA製テスター PC7000の紹介記事です。

6000カウントのHP-90Kの紹介記事です。

今回のHoldPeak HP-90EPCは、国内発送で比較的安価に購入できたため、Amazonで購入しました。

その他中華テスターの紹介記事

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