HoldPeak製のデジタル騒音計、HP-882Aを買ってみましたので、ご紹介します。
照度計、風速計と買ってきたので、環境系の測定器をコンプリートしたくなって買ってみました。
デジタル騒音計とは
デジタル騒音計は、周囲の音を数値化して計測する環境計測器です。
工場なんかでは、機械の騒音レベルを測って、働いている人が耳栓する必要があるか判断したり、工場外のよそ様へ基準以上の騒音をまき散らしてないかを確認するために使われますね。
(その地区の条例などで決まりがあるんじゃないでしょうか。居住区域とか、工業地帯とかで色々あるんでしょうが、知らんけど。)
今回購入した私の用途としては、下記を考えています。
・パソコン関連の騒音レベル確認に
・スピーカー、マイク関連の電子工作をした時のためのレベルチェックに
・家電製品(エアコン、扇風機、洗濯機)などの騒音レベル確認に
HoldPeak HP-882Aについて
HP-882Aのスペック
今回購入した、HoldPeak製のデジタル騒音計、HP-882Aの仕様です。
測定レベル範囲:30dB~130dB
周波数範囲:31.5Hz~8.5kHz
精度:±1.5dB
分解能:0.1dB
直線性範囲:50dB(レンジ:30~80dB、50~100dB、60~110dB、80~130dB)
AC/DCアナログ出力端子あり:データロガーやFFTアナライザなどに接続できるようです。
周波数重み付け:A特性(人間の聴覚に合わせた重み付け)または、C特性(平坦な特性)
HP-882Aは、IEC651 TYPE2、およびANSI S1.4 TYPE2に準拠しているようです。
梱包とケース
段ボール梱包の写真です。
風速計と共通パッケージになっているようです。
裏面には仕様の一覧表があります。(風速計の分も)
立派なプラスチックケースが付属していました。
本体写真
ケースを開封した写真です。
デジタル騒音計本体と、風切り音防止のスポンジ(風防)が入っています。
あと、アナログ出力端子用のケーブル、ドライバ、9V電池も付属しています。
長期在庫品だったためか、付属の9V電池は空っぽの状態でした。
動かないので初期不良かと思って焦りました。
ケースから取り出した騒音計本体の写真です。
本体裏側の写真です。
三脚の固定ネジがあります。
取説を読むと、このネジの下あたりにキャリブレーション(校正)用の半固定抵抗がある様なのですが、なにもありません。
ラベルを押すと突き破れそうな穴があるので、調整するときはドライバで破る必要がありそうです。
電池BOXを開けた状態です。
角型9V電池です。
電源を入れてみました。
バックライト点灯状態
動作確認
試しに家の中の騒音を確認してみました。
設定:FASTモードで、MAX値を確認します。
周波数重み付けは、人間の聴覚に合わせたA特性で確認しています。
洗濯機
洗い時、73.7dBでした。
脱水時だともっとうるさいかも。
食器洗い乾燥機
食洗器の前に立って測定、58.5dBでした。
デジタルカメラのシャッター音
一眼レフカメラ(D750)のシャッター音:75.4dBでした。
写真を撮ってる分には気にならないですが、測ってみると結構大きいです。
そしてMAX値(ピークホールド)のモードにしていると、写真を撮るとこの数値が出てきてしまいます。
正しく測るには物音を立てない様に注意が必要ですね。
パソコンデスクの上
自分の作業しているPCデスク上の騒音レベルは、41.8dBでした。
デスクトップPCの本体は机の下に置いていますが、お世辞にも静音とは言えないレベルの音です。
パソコンの排気FAN付近
机の下のデスクトップパソコンの排気FAN付近の騒音レベルは44.6dBでした。
CPU負荷をかけるともっとうるさくなります。
静かな部屋での測定値
何も家電の無い、寝るだけの部屋での測定結果です。
騒音レベルは37.1dBでした。
少し雨が降っていましたが、マイク部を布団で塞いでも数値はこの辺りでした。
この騒音計での下限値はこの辺りなんでしょうか。
騒音レベルの例
騒音レベルの例は下記になります。
- 30dB:鉛筆の筆記音、深夜の住宅地(郊外)
- 40dB:図書館、昼間の住宅街
- 60dB:テレビの音、普通の会話
- 80dB:パチンコ店内、走行中の電車内
- 90dB:カラオケ
- 100dB:電車のガード下
- 120dB:ドラムの音、近くの落雷
- 130dB:ジェットエンジンの音
60dB以上はうるさい、80dB以上は極めてうるさいレベルになるようです。
分解してみる
中身が気になったため、分解してみました。
ネジ4本でカバーが開きました。
上下でネジの径が違うため注意!
キャリブレーション(校正)用の半固定抵抗を回すための穴は、やっぱりラベルの後ろにあいてました。
基板部の拡大写真。
思ったより電子部品がたくさん使われています。
外部電源入力と、外部信号出力端子回り。
外部信号出力端子の近くに、LM358(U9):TIの2回路入りオペアンプがあります。
SIL F330と書いてあるQFNパッケージのIC(U5):Sillicon Labs製のマイコンのようです。
丸く樹脂封入されたIC(COB実装)もあります。液晶ディスプレイ駆動用のものでしょうか。
TLC27M4Cと書いてあるIC(U1、U2、U3):TIの4回路入りオペアンプのようです。
かなり沢山ありますね。
CD4052BPと書いてあるIC(U6):TIの8ChアナログマルチプレクサICのようです。
このダイオードの数の感じからして、各レンジ毎に全波整流回路が組んであるんでしょうか?
全波整流回路(理想ダイオード回路)については下記を参照ください。
キャリブレーション用の半固定抵抗は、多回転タイプの20kΩ品が使われています。
GC7660APと書いてあるIC(U4)は、DC/DCコンバータICのようです。
LM7660の互換品でしょうか?
K596と書いてある3端子のIC(Q1):N-Ch JFETのようです。
コンデンサマイクへの配線のそばにあるので、マイクアンプ用でしょうか。
マイク部は、厚めの金属の缶の中に入っています。
中身を空けてみると、わりとよく見る形のコンデンサーマイクが入っていました。
説明書によると、1/2インチのエレクトレットコンデンサーマイク(ECM)を使用しているようです。
基板の裏側は、操作ボタンと液晶のみでした。
外部信号出力を試してみる
HP-882Aには外部出力端子があるので、アクティブラーニングモジュールADALM2000に繋げて、波形とスペクトラムアナライザで確認してみました。
今回は、AC出力端子を使用しています。(無負荷)
取説によると、出力の仕様は下記のとおりです。
AC出力:0.707Vrms@フルスケール、出力インピーダンス約600Ω
DC出力:10mV/dB、出力インピーダンス約100Ω
近くで手を叩いた時の音の波形を、オシロスコープ機能で測定してみました。
無負荷ですが、一瞬±1Vppまで振れています。
YouTubeで聴力テストの動画を再生して、スペクトラムアナライザ機能で反応があるか確認してみました。
下記は7kHz再生時の画像です。
ちゃんと反応しています。
HP-882Aの周波数範囲の仕様(31.5Hz~8.5kHz)の通り、9kHz以上については、ほぼ反応しなくなりました。
使用した測定器:アクティブラーニングモジュール ADALM2000については下記を参照ください。
まとめ
HoldPeak製のデジタル騒音計、HP-882Aを買ってみたので、紹介がてら動作確認と分解をしてみました。
これを使うことで、パソコンや家電の騒音レベルの確認を行うことが出来ます。
ADALM2000など、スペクトラムアナライザと接続することで、音の周波数成分も確認出来そうです。
照度計、風速計合わせて、環境系の測定器はだいだいコンプリートできたでしょうか。
マイクアンプ関連の基板も作ってみたいですね~
参考リンク
今回購入した騒音計
その他HoldPeak製の環境計測器、テスターなど